直近3年間の倒産件数
2023年10月:840件
2024年10月:957件
2025年10月:1,016件
→ 3年連続増加。2025年10月は前年同月比+59件(+6.2%)、2023年10月比では+176件(+21.0%)で、10月としては2012年10月(1072件)以降の最高水準です。
直近3年間の負債総額(百万円)
2023年10月:308,260百万円
2024年10月:253,124百万円
2025年10月:127,772百万円
→ 件数は増加する一方、負債総額は**2024年比▲約49.5%、2023年比▲約58.6%**と大幅減。
1件当たり平均負債額も
2023年10月:約3.67億円/件
2024年10月:約2.65億円/件
2025年10月:約1.26億円/件
と、小規模倒産中心の増加(大型倒産の減少)という構図になっています。
(全国計 1,016件)
1,000万円以上5,000万円未満:571件(構成比56.2%)
5,000万円以上1億円未満:174件(17.1%)
1億円以上5億円未満:181件(17.8%)
1,000万円未満:51件(5.0%)
5億円以上10億円未満:24件(2.4%)
10億円以上100億円未満:14件(1.4%)
100億円以上:1件(0.1%)
→ 5,000万円未満が約6割、1億円未満までで約8割弱を占めており、比較的小口倒産が中心となっている。
総件数:+59件(957→1,016)
主な増加
1,000万~5,000万円:+36件
5,000万~1億円:+8件
1億~5億円:+13件
5億~10億円:+4件
減少
10億~100億円:▲4件
100億円以上:▲1件(2件→1件)
→ 増加分の大半が1,000万~5億円のゾーンに集中。
3年とも**「5,000万円未満で約6割」**という構造はほぼ不変。
100億円以上の超大型倒産は 6件 → 2件 → 1件と急減。
一方で、1億~5億円ゾーンは件数・構成比ともにじわり増加傾向。
特筆点
→ 「倒産件数は増え続けているが、超大型倒産は減少し、中堅以下の案件が増えている」という明確なシフトが見られます。
サービス業:282件(27.8%)
建設業:183件(18.0%)
製造業:127件(12.5%)
小売業:123件(12.1%)
飲食業:101件(9.9%)
卸売業:102件(10.0%)
その他:98件(9.6%)
→ サービス業が3割弱で最大。増加は建設・製造・小売・飲食にも幅広く及んでおり、特定の業種だけが極端に増加しているというよりは、内需系業種を中心に倒産増加の傾向があるものと考えられる。
総件数:+59件
主な変化(2025年10月 − 2024年10月)
製造業:+22件
小売業:+15件
飲食業:+6件
その他:+30件
建設業:▲14件
サービス業:▲3件(前年の急増からいったん頭打ち)
→ 増加の主役は製造・小売・飲食・「その他」サービス。
建設業は2024年にかなり増えていたところから若干の反落です。
サービス業:215 → 285 → 282件
→ 2023→24で大きく増加し、2025年は高止まり。
建設業:168 → 197 → 183件
→ コロナ後の公共・民需の波を受けつつ、24年に山を付け25年やや調整。
製造業:106 → 105 → 127件
→ 25年に明確な増加。
小売・飲食:いずれも3年連続で増加傾向。
特筆点
→ サービス業の高水準化と、2025年の製造・小売・飲食の増加が目立ちます。コスト高や需要変動の影響が、物販・飲食・対人サービスに広く及んでいるものと思われます。
販売不振:748件(73.6%)
既往のシワ寄せ:129件(12.7%)
放漫経営:52件(5.1%)
他社倒産の余波:40件(3.9%)
過少資本:14件(1.4%)
売掛金回収難:5件(0.5%)
その他:28件(2.8%)
→ 販売不振が7割超と圧倒的。
次いで「既往のシワ寄せ」(過去の負債・借入負担など)が1割強を占めています。
「販売不振」:+57件
「既往のシワ寄せ」:+23件
「他社倒産の余波」:▲6件
「その他」:▲17件
→ 倒産件数増加の中身はほぼ販売不振と既往のシワ寄せの増加。
連鎖倒産(他社倒産の余波)はむしろ縮小傾向です。
販売不振の構成比:72.3% → 72.2% → 73.6%
→ 一貫して7割超で高止まり。
既往のシワ寄せ:9.8% → 11.1% → 12.7%とじわじわ上昇。
他社倒産の余波:7.4% → 4.8% → 3.9%と低下。
4人以下:798件(78.5%)
5〜9人:126件(12.4%)
10〜29人:75件(7.4%)
30〜99人:15件(1.5%)
100〜299人:2件(0.2%)
300人以上:0件
→ 従業員9人以下で約9割。小規模・零細企業中心の倒産です。
4人以下:+32件
5〜9人:+20件
30〜99人:+10件
300人以上:▲2件(2件→0件)
→ 増加分の大半が従業員9人以下の小規模企業。
中堅以上の企業倒産はごく少数で推移しています。
4人以下の構成比:77.5% → 80.0% → 78.5%
→ 3年連続で8割前後を維持。
従業員100人以上の倒産は常に数件レベルで、2025年10月はゼロ。
個人事業:221件(21.8%)
1,000万円未満:532件(52.4%)
1,000万〜5,000万円未満:235件(23.1%)
5,000万〜1億円未満:23件(2.3%)
1億〜5億円未満:5件(0.5%)
5億〜10億円未満:0件
10億円以上:0件
→ 「個人事業+資本金1,000万円未満」で約7割強。
資本金5億円以上の倒産はゼロです。
個人事業:+7件
1,000万円未満:+59件(473→532)※増加の中心
1,000万〜5,000万円:▲12件
10億円以上:▲1件(1→0)
→ 2025年10月の増加分はほぼ「資本金1,000万円未満の法人+個人事業」に集中。
個人事業:176→214→221件と増加。
1,000万円未満:426→473→532件と一貫増加。
5億円以上・10億円以上は、件数・構成比ともに極めて低水準に抑制。
特筆点
→ 小資本・個人事業主体の倒産がじわじわ積み上がっている一方で、大資本企業の倒産はごく限定的である。
2年未満:10件(1.0%)
2〜6年未満:104件(10.2%)
6〜10年未満:144件(14.2%)
10〜20年未満:213件(21.0%)
20〜30年未満:133件(13.1%)
30年以上:285件(28.1%)
不明:127件(12.5%)
→ 30年以上の老舗クラスが最多(約3割)、ついで10〜20年、6〜10年と「中堅年数」の企業が中心です。
創業2年未満のスタートアップ的企業の占める割合は1%程度にとどまる点がポイント。
30年以上:+28件
10〜20年:+17件
20〜30年:+10件
2〜6年:▲19件
2年未満:▲6件
→ 老舗・中堅年数の企業で倒産が増え、若い企業はむしろ減少しています。
30年以上:222→257→285件と一貫して増加。構成比も26.4%→26.9%→28.1%。
10〜20年未満:18.7%→20.5%→21.0%と比率上昇。
2〜6年未満:14.3%→12.9%→10.2%と若年企業の比率低下。
特筆点
→ 経営者の高齢化や後継者難等により、「長年続けてきたが、ここ数年の環境変化に耐え切れなくなった企業」の倒産増加が懸念されます。
破産:929件(91.4%)
特別清算:42件(4.1%)
民事再生:28件(2.8%)
銀行取引停止:15件(1.5%)
会社更生:1件(0.1%)
商法整理・その他:ごく少数
→ 倒産形態は圧倒的に「破産」中心。
破産:+60件
民事再生:+8件
特別清算:+3件
銀行取引停止:▲13件(28→15件)
→ 銀行取引停止は年々減少し、法的整理(破産・特別清算・民事再生)による破綻処理が増えていることが伺えます。
破産の構成比:89.8% → 90.8% → 91.4%でじわり上昇。
銀行取引停止:3.8% → 2.9% → 1.5%と半減以下に低下。
東京都:193件(前年170件、+23件)
大阪府:123件(前年128件、▲5件)
神奈川県:63件(+12件)
兵庫県:53件(+1件)
愛知県:46件(▲12件)
福岡県:55件(+14件)
増加が目立つ県(2024→2025年10月)
東京都:+23件(170→193)
京都府:+17件(29→46)
福岡県:+14件(41→55)
神奈川県:+12件(51→63)
鹿児島県:+9件(4→13)
減少が目立つ県
静岡県:▲13件(30→17)
愛知県:▲12件(58→46)
青森県:▲8件(11→3)
石川県:▲6件(11→5)
北海道:▲6件(30→24)
1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)のシェア
2023年10月:32.9%
2024年10月:30.2%
2025年10月:32.2%
近畿4府県(大阪・兵庫・京都・奈良)のシェア
2023年10月:21.1%
2024年10月:23.0%
2025年10月:23.5%
福岡県のシェア
2023年10月:4.6% → 2025年10月:5.4%
→ 首都圏・近畿圏・福岡などの大都市圏での倒産集中がじわり強まっている一方、地方圏では増減が割れている印象です。
10月としては少なくとも2012年以降で最大の倒産件数
2023→2025年にかけて3年連続で大きく増加し、コロナ禍直後の低水準からは明確な反転局面。
件数は増加する一方で、負債総額・1件当たり負債額は大幅減少
超大型倒産(100億円以上)は3年で【6件→2件→1件】、5億円以上ゾーンも低位安定。
→ 「数は増えるが1件あたり規模は小さい」倒産局面に移行。
小規模・小資本・個人事業の倒産がじわじわ増加
従業員4人以下が約8割、資本金1,000万円未満+個人事業で7割超。
→ 価格転嫁や賃上げ、コスト高に耐えにくい層に負担が集中。
長寿企業(30年以上)の倒産が増加傾向
30年以上企業の件数・構成比が3年連続で上昇。
→ 事業承継難・借入返済負担・構造転換の遅れ等、中長期的な課題が表面化していると考えられます。
業種別ではサービス業が高水準、2025年は製造・小売・飲食の増加が目立つ
サービス業は高止まり、製造・小売・飲食が加速。
→ 内需系産業全体で、需要・コスト両面の課題に直面。
倒産原因は『販売不振+既往のシワ寄せ』が中心
販売不振は一貫して7割超、既往のシワ寄せも比率上昇。
→ 一時的ショックというより、慢性的な収益力低下+過去負担の蓄積が主要因。
倒産形態は破産中心で、銀行取引停止は減少
長期間にわたる再生手続きよりも、法的整理が主流化。
地理的には首都圏・近畿圏・福岡など大都市圏で増加が目立つ
東京都・京都府・福岡県・神奈川県などが前年から大きく増加。
→ 地方だけでなく、都市部でも中小事業者の体力低下が鮮明になっていると言えます。