[00]最近の景気動向と企業倒産

2013/04/14 17:57 に Matsumoto Norikazu が投稿
米国中心に回復軌道に乗る世界経済 

 東日本大震災から満2年が経過した。インフラ整備などの復興事業は、着々と進められているものの、生活者の暮らし再建の足取りは重く、復興といってもそのテンポは一様でない。ことに放射性物質の除染が進まない地域では、いまなお不安定な避難生活を余儀なくされている方々が多い。さらに中小規模の事業者が、不幸な状況に追い込まれるケースは絶えず、倒産という結果が重苦しく尾を引いている。今後、被災者の生活再建を軸にした復興計画が滞りなく進められることを祈るばかりである。

 国内の景気動向は、大幅な金融緩和と積極的な財政出動による円安・株高基調が続き、これまでのところ順調に回復軌道に乗っている。これらを背景に、内閣府の1月景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が2か月ぶりに悪化したものの、数か月後の景気を示す先行指数は2か月連続の改善を示した。実体経済の面でも、輸出・生産が徐々に上向きはじめると同時に、個人消費も消費税増税を前にして住宅・自動車などの駆け込み需要が動意づいている。しかし、雇用・賃金面では、政府の要請に呼応する企業がある半面、なお多くの企業がそのゆとりもなく、従業員の待遇改善に取り組めないでいる。

 3月の月例経済報告は、景気の基調判断を3か月連続で上方修正、景気持ち直しの方向性を明確にした。自動車などを中心に鉱工業生産の伸びが続いているためである。

 日銀では、総裁・副総裁をはじめとする新しい陣容がスタートした。それに先立ち、白川前総裁のもとで開かれた3月の金融政策決定会合では、景気の現状判断を「下げ止まっている」と3か月連続で上方修正の上、金融政策の現状維持を決めた。新しいスタッフは、今後の金融政策について質量ともに大胆な緩和の方向を明確に打ち出した。しかし、2%の物価上昇率目標は、量的緩和だけで実現できるという性格のものでもない。後継の舵取りが注目される。

 1月の貿易収支は、赤字幅で過去最大の1兆4,793億円を記録した。このため、経常収支は3,648億円と3か月連続の赤字となった。円安・原油高による、石油製品やLNG(液化天然ガス)の輸入額増が影響している。

 経営難に陥った中小企業の金融支援を趣旨にした「中小企業金融円滑化法」は、3月末で失効した。これに伴い、新たに「地域経済活性化支援機構」が発足した。これまでの「企業再生支援機構」を衣替えした組織で、引き続き中小企業支援にあたる。

 海外経済は、欧・米・中それぞれに不安定な要素を抱えているが、概して復調気味である。米国は、歳出の強制削減や債務上限引上げなど深刻な財政問題を抱えているものの、堅調な企業業績を支えに株価は市場最高値の更新で市場心理が好転している。株価の復活は、3月失業率の大幅改善、あるいは住宅市場の緩やかな回復などが背景にあるが、これが個人消費を刺激する要因ともなっている。米国は、民間需要主導の自律的な回復の道を歩みはじめたといえ、これを機に世界経済は回復軌道に乗りつつある。

 といっても、経済の先行きに影をさす懸念材料が払拭されたわけではない。まず、米の減税終了、強制的な歳出削減などを巡る財政問題は根本的に解決されていない。EU(欧州連合)には、2月総選挙で混迷に陥ったイタリア政局の影響で、域内危機の再燃懸念がくすぶっている。EUの金融市場が信任を取り戻すには、当面、イタリアの財政緊縮派と反緊縮派が忍耐強く話し合いを重ねていくしかない。

 こうした折り、EUでは中核をなすFISH(フランス・イタリア・スペイン・オランダ)4か国の成長率低下や、地中海の小国・キプロスが金融危機に追い込まれるなど、次々と新たな心配事が加わっている。キプロスの場合は、銀行の高額預金者に負担を求めることを条件に、EUの金融支援を得られることになった。こうしたEUとキプロスの合意内容が機能するかどうかは、こんごの推移にかかっている。一時、小康状態を取り戻したEU経済だが、いぜん不安定なことに変わりはない。

 中国では高度成長の時期が終わり、安定的な持続成長を求める時代へと移行している。汚職のまん延、格差拡大、大気汚染など多くの問題処理に追われる一方、経済構造改革にも迫られている。

  2月の倒産件数は950件(前年同月比11.4%減)と4か月連続で前年同月を下回り、しかも2月度としては過去20年の最小を記録した。「中小企業金融円滑化法」など、一連の金融支援策の効果とみることができる。負債額も、1,721億3,500万円(同72.7%減)と3か月連続の減少と同時に、こちらも過去20年間での最小額となった。負債額の大幅減少は、前年同月に製造業で過去最大の負債額(4,480億円)を出した「エルピーダメモリ」の倒産があったのに比べ、今月は同「100億円以上」の倒産が農林業振興の「(社)愛知県農林公社」1件(負債額227億円)に止まり、これを含めた負債額「10億円以上」の倒産が28件と、大型倒産が比較的少数に止まったことによる。負債額「1千万円以上」の倒産は、916件(同11.8%減)、負債額は1,719億7,100万円(同72.8%減)である。