2016年 2月(2015年12月調査)
[01]12月の主な動き
(1)2015年の倒産件数は25年ぶりに10,000件を割る 2015年の倒産件数は9,170件(前年比9.4%減)、負債総額は2兆1,141億2,200万円(前年比12.7%増)でした。2010年以降、倒産件数は一貫して減少を続けており、2015年の倒産件数は1990年(8,364件)以降で最少、1979年の当協会の集計開始以来2番目に少ない件数となりました。 (2)倒産件数が9か月ぶりに前年同月を上回る 12月の倒産件数は728件(前月比1.5%減、前年同月比2.2%増)、負債額は3,854億円9,700万円(前月比171.9%増、前年同月比116.0%増)で、倒産件数の前年同月比は9か月ぶりに増加、負債額は船舶関連会社のラムスコーポレーション(株)と関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで「10億円以上」の倒産件数が急増。また負債額が1,000億円を超える倒産が発生したことで、月次負債額は2015年最大となった。 負債額1千万円以上の倒産は699件(前月比1.7%減、前年同月比1.9%増)、負債額は3,853億5,300万円(前月比172.0%増、前年同月比116.1%増)であった。 (3)小規模企業倒産が9か月ぶりに前年同月比増加 小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下)の倒産は644件(前月比1.1%増、前年同月比2.1%増)で月次倒産全体に占める割合は88.5%(前月比0.4ポイント上昇、前年同月比0.1ポイント低下)となった。 船舶関連会社のラムスコーポレーション(株)と関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで、従業員数「4人以下」の件数が増加したことも影響している。 (4)「不況型倒産」の構成比が80%を割る 負債額1千万円以上の原因別倒産件数は「他社倒産の余波」「過少資本」「既往のシワ寄せ」「その他」で前年同月を上回り、「売掛金回収難」が横ばい、「販売不振」「放漫経営」で前年同月を下回った。「販売不振」420件は1992年3月(356件)以降で最少件数となり、6か月連続で前年同月を下回った。 「既往のシワ寄せ」は6か月ぶりに100件を超える水準となる一方、「販売不振」が前年同月比で減少し、「不況型倒産」(「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」の合計)は527件(前月比10.2%減、前年同月比5.9%減)と前月比、前年同月比ともに減少。月次倒産に占める割合は75.4%(同7.2ポイント低下、同6.2ポイント低下)と9か月ぶりに80%を割った。 (5)「建設業」が18か月ぶりに前年同月を上回る 業種別の集計では「建設業」「サービス業」「その他」が前年同月を上回った。「建設業」の中分類では「土木工事」と「職別工事」を除く「建築工事」と「設備工事」で前年同月を上回った。 また、「その他」99件が9か月ぶりに前年同月比増加(35.6%増)となった。内訳では、「一般貨物自動車運送業」が前年同月比で大きく減少する一方、船舶関連会社のラムスコーポレーション(株)と関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで、「船舶貸渡業」の増加が全体の件数を押し上げた。 |
[02]負債規模別の動向
~10億円以上の倒産急増で負債額は2015年最大規模に~ 負債規模別の倒産件数は、5000万円以上から5億円未満の2区分で前年同月を下回り、「1000万円以上5000万円未満」と「100億円以上」は横ばいとなった。 「10億円以上100億円未満」63件(前月比173.9%増、前年同月比133.3%増)には会社更生法の適用を受けた船舶運航管理のラムスコーポレーション(株)と、その関連会社38社(負債額各30~40億円)が含まれている。 負債額100億円以上の大型倒産は、(株)MARU(負債額1,313億円、投資運用業、破産、東京都)の1社で、10億円以上の企業倒産が64件に上ったことで、月次の負債総額は2015年最大となる3,854億9,700万円に膨らんだ。 |
[03]業種別の動向
~「建設業」が18か月ぶりに前年同月を上回る~ 「建設業」129件(前月比6.5%減、前年同月比2.4%増)は過去12か月の平均(140.3件)を大幅に下回る水準ではあるものの、18か月ぶりに前年同月を上回ることとなった。当協会の建設業倒産集計では1990年2月の81件が最少件数であり、「建設業」倒産の減少傾向が頭打ちになりつつあるものと考えられる。 「建設業」の内訳では、「土木工事」21件(前月比27.6%減、前年同月比8.7%減)のみが前年同月を下回り、「職別工事」45件が横ばい、「建築工事」と「設備工事」は前年同月を上回った。 「サービス業」151件(前月比7.9%増、前年同月比11.9%増)では「企業関連」を除く「生活関連」「レジャー関連」「情報関連」で前年同月を上回った。 「その他」の内訳では、「一般貨物自動車運送業」が前年同月比で大きく減少する一方、船舶関連会社のラムスコーポレーション(株)と関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで「船舶貸渡業」の増加が全体を押し上げた。 業種区分「その他」の前年同月比較一覧(負債額1000万円以上)
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[04]原因別の動向
~「販売不振」減少続くも「他社倒産の余波」急増~ 負債額1千万円以上の原因別倒産件数は、「他社倒産の余波」「過少資本」「既往のシワ寄せ」「その他」が前年同月を上回った。 「他社倒産の余波」76件(前月比72.7%増、前年同月比85.4%増)は5か月ぶりに前年同月を上回り、過去12か月の平均(43.2件)も大きく上回った。この背景には、船舶関連会社のラムスコーポレーション(株)と関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで、同区分の件数が急増したことも影響している。「他社倒産の余波」が月次倒産に占める割合は10.9%(前月比4.7ポイント上昇、前年同月比4.9ポイント上昇)だった。 「既往のシワ寄せ」104件(前月比6.1%増、前年同月比57.6%増)は6か月ぶりに100件を超え、3か月連続で前年同月を上回っている。「既往のシワ寄せ」が月次倒産に占める割合は14.9%(前月比1.1ポイント上昇、前年同月比5.3ポイント上昇)だった。 一方、「販売不振」420件(前月比13.4%減、前年同月比14.5%減)は6か月連続で前年同月を下回り、1992年3月(356件)以降で最も少ない件数だった。 不況型倒産(「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」の合計)は527件(前月比10.2%減、前年同月比5.9%減)で月次倒産に占める割合は75.4%(前月比7.2ポイント低下、前年同月比6.2ポイント低下)と9か月ぶりに80%を割った。 |
[05]従業員規模別の動向
~「4人以下」と小規模企業の倒産が9か月ぶりに前年同月を上回る~ 「4人以下」512件(前月比2.8%増、前年同月比3.0%増)は過去12か月の平均(519.3件)を若干下回る水準で、9か月ぶりに前年同月を上回った。 小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下)の倒産件数は644件(前月比1.1%減、前年同月比2.1%増)で9か月ぶりに前年同月を上回った。月次倒産全体に占める割合は88.5%(同0.4ポイント上昇、同0.1ポイント低下)だった。 小規模企業の倒産件数構成比・前年同月比推移
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[06]資本金規模別の動向
~「個人」と「1000万円未満」の件数・構成比上昇~ 負債額1千万円以上の資本金規模別倒産件数は、「個人」「1000万円未満」「5000万円以上1億円未満」が前年同月を上回った。 「個人」122件(前月比15.1%増、前年同月比8.0%増)は2015年6月以降の増加基調を維持しており、過去12か月の平均件数(115.9件)を上回っている。 しかし、「個人」の負債額急増の背景には、ラムスコーポレーション(株)と法人格を持たないその関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで「個人」にカウントされている影響が大きい。 「個人」と「1000万円未満」の合計は415件(前月比4.8%増、前年同月比4.0%増)で、月次倒産に占める割合は59.4%(同3.7ポイント上昇、同1.2ポイント上昇)となった。 |
[07]営業年数別の動向
~営業年数「不明」が増加に転じる~ 「不明」92件(前月比21.1%増、前年同月比10.8%増)は9か月ぶりに前年同月を上回り、過去12か月の平均件数(80.9件)も超えて増加に転じた。「不明」の件数と負債額急増の背景には、ラムスコーポレーション(株)と法人格を持たないその関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで「不明」にカウントされている影響が大きい。 別途集計した原因別とのクロス集計によると、「2年未満」では「販売不振」が最も大きな増加要因で、「30年以上」では「既往のシワ寄せ」、「不明」では「他社倒産の余波」が最大の増加要因となった。 |
[08]倒産形態別の動向
~「会社更生法」が集計開始以来最多~ 負債額1千万円以上の形態別倒産件数は、「再生手続」「会社更生法」「その他」で前年同月を上回った。 「会社更生法」は2015年1月以来、12か月ぶりに発生。件数が30件を超えるのは2002年2月(33件)以来で、1979年4月の集計開始以来の最多件数となった。東京商工リサーチの調べによると、これは船舶運航管理会社とその関連会社38社がいっせいに会社更生法手続開始の決定を受けたもの。 「破産」は540件(前月比10.0%減、前年同月比2.9%減)で、2015年に入って8月(524件)に次ぐ低水準となった。 月次倒産に占める法的倒産の割合は88.8%(前月比1.1ポイント低下、前年同月比1.5ポイント上昇)、「会社更生法」の増加と「破産」の減少によって、法的倒産に占める「破産」の割合は87.0%(同6.9ポイント低下、同5.8ポイント低下)と大きく変動した。 |
[09]倒産原因・営業年数別の動向
~「30年以上」で販売不振減少続く~ 増加区分は10月(21件)、11月(16件)と比べて特に大きな変化はないが、「販売不振」の減少が「30年以上」で顕著なことと、「2年未満」で増加傾向が続くことが共通である。 また、「既往のシワ寄せ」では「30年以上」の前年同月比が10月(17件増=58.6%増)、11月(7件増=23.3%増)、12月(24件増=104.3%増)と増加が明確であり、同様の傾向は6年以上~20年未満の区分にも見られる。 その他、個人事業を含む「不明」では、船舶関連会社のラムスコーポレーション(株)と関連会社38社が会社更生手続開始の決定を受けたことで、連鎖倒産などの「他社倒産の余波」が前年同月比40件増(2000.0%増)となったのが目立つ。 営業年数区分別の不況型倒産(「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」の合計)は「2年未満」「10年以上20年未満」「30年以上」で前年同月を上回り、6年以上のすべての区分で構成比が80%を超えた。 倒産原因・営業年数別倒産件数クロス集計(負債額1000万円以上)
倒産原因・営業年数別倒産件数前年同月比増減率(負債額1000万円以上)
倒産原因・営業年数別倒産件数前年同月比増減数(負債額1000万円以上)
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[10]地域別の動向
~「関東」は3か月連続で前年同月を上回る~ 負債額1千万円以上の地域別倒産件数は、全8地域区分のうち「東北」「関東」「中国」「四国」で前年同月を上回った。 「東北」の倒産は21件で、岩手県、宮城県、秋田県で前年同月を上回った。 「関東」の倒産は341件で、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、長野県で前年同月を上回り、2015年では7月(346件)に次ぐ高い水準となった。過去12か月の平均(309.8件)を大きく上回った。また、10月以降、3か月連続で前年同月を上回っている。 「中国」は岡山県が前年同月比3件→11件(266.7%増)と大きく増加。全体では6か月ぶりに前年同月を上回った。 「四国」は香川県、愛媛県で前年同月を上回った。 都道府県別倒産件数前年同月比較一覧(負債額1000万円以上)
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