10-12月期GDP2次速報は前期比0.2%プラス(年率1.5%プラス)と1次速報値から下方修正された。要因としては民間の在庫投資や設備投資の下振れなどが全体を押し下げた。個人消費が伸びる一方で設備投資がマイナスに転じるなど、企業の業績好転が先行投資に直結せず、日本経済が未だ力強い成長軌道に乗りきれていないことを伺わせた。 一方、財務省が発表した1月「国際収支統計」は前年同月から1兆6,475億円増の614億円の黒字となり、経常収支の黒字を7か月連続とした。折からの原油安に加え、順調な輸出の増加が貿易赤字を圧縮している格好だ。 10-12月の法人企業統計によれば調査対象となった1万9千社の経常利益総額は18兆円余りで第3四半期としては過去最高となっており、株価も15年ぶりに1万9千円台を回復した。デフレ脱却に向けた条件は揃いつつあり、いよいよ雇用と賃上げに向けた各企業の動向が注目される段階にきているが、民間シンクタンクの調査によると同期の労働分配率は過去20年で最低であったことが報じられた。 経営者が賃金単価を据え置き、次世代への投資よりも業績の波に備えた内部留保を優先し、労働者も同様に消費や投資に対して消極的な姿勢を保ち続ける背景には、長きにわたって続いたデフレマインドの定着と将来への漠然とした不安が大きな要因であろう。 実質賃金の継続的上昇なしに景気の好循環は起こりえないが、世界的に見ても先進国の経済成長を支える新興国は残りわずかである。新たな成長戦略への期待と同時に最近注目される富の再分配など、資本主義経済の広範な見直しが迫られてくるのかもしれない。 2015年1月の企業倒産は745件(前月比4.6%増、前年同月比18.0%減)、負債額は1,681億7,500万円(前月比5.8%増、前年同月比46.7%)で2014年の最少件数であった12月からやや増加したものの依然として低い水準が保たれている背景には、金融機関による返済計画の見直しになど柔軟な対応があるものと考えられ、原因別で「過少資本」「既往のシワ寄せ」が低い水準で推移している事にも表われている。一方で、代表者の死亡などによる「偶発的原因」には変化が無く、後継者問題や事業承継の側面で、さらなる支援が求められているとも考えられる。 |
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