[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/02/03 23:52 に Matsumoto Norikazu が投稿
景気指標はおしなべて回復基調

 景気の先行きに明るい展望を持つ経営者、いっそうの自己革新に挑もうとする経営者が多く見られるようになってきた。ある意味で、経済環境と事業経営者の意欲は、連動している。経済環境が好転すれば、経営マインドも上向きになるのは自然の成り行きだろう。このような状態が、14年から長期にわたって継続されればいうことない。上場企業のうち、3月期決算企業の13年10~12月期決算発表が相次いでいる。一部証券会社は、金融を除くこれら企業の14年3月通期決算では、経常利益が30%台に乗せるとみている。好調である。

 政府・日銀が、最近まとめた景気指標のほとんどは回復基調で彩られている。個人消費や設備投資など、内需にも力強さがでてきた。その一方で、海外の経済動向に左右されがちな輸出や、消費税増税前に増えた駆け込み需要が4月以降に、どのような収束を見せるかなど懸念材料も抱える。

 1月の月例経済報告は、景気の基調判断を「緩やかに回復している」として、昨年9月以来4か月ぶりに上方修正した。基調判断に「回復」の表現が入るのは、06年1月以来8年ぶりのことである。個人消費が2か月連続で上方修正されたほか、設備投資についても先行指標となる11月の機械受注が前月比9.3%増となるなど、企業の投資意欲の高まりをうかがわせる。設備投資には、業種によるバラツキがみられるものの、とくに非製造業の動きが注目される。

 日銀は、1月の地方経済報告(さくらリポート)で、北海道、北陸、東海、中国、四国5地域の景気判断を前回(13年10月)から上方修正した上で、全国9地域すべてに「回復」の表現を取り入れ、景気回復が全地域に波及している状況を伝えた。全地域に回復の表現が入るのは、05年4月以来のことである。景気回復の要因が、輸出から個人消費に、さらに設備投資にまで移ってきていることが背景にある。

 一方で、13年の貿易赤字は、11兆4,745億円と史上最大を記録した。円安で、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入額が大きく膨らんだためである。

 14年に世界経済のリスク要因となるのは、米国の量的金融緩和の縮小、中国の成長鈍化、新興国の経済不安、さらに日本自体では消費税増税による消費の反動減などである。

 米経済は、個人消費、輸出の好調に支えられ、13年10~12月期GDP(国内総生産)が前期比3.2%増と成長の底堅さを示した。住宅着工件数、雇用統計・失業率などの経済指標も、堅調に推移している。このため、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、1月末に12月に続く2回目の金融緩和縮小を決めた。FRB(米連邦準備制度理事会)は、米経済について「ここ数四半期の成長は勢いを増している」と景気回復に自信を深めている。しかし、金融緩和の縮小によって、新興国から投資資金が引き上げられれば、世界経済への影響は免れない。事実、このところ緩和縮小による資金流出の懸念から、アルゼンチン、トルコなどの通貨急落で、新興国経済への先行き不安が広がっている。このため、日・米・アジアの株価は乱高下を繰り返している。

 欧州経済は、ひところの深刻な債務危機から脱し、緩やかな回復過程に入っている。一部には、14年から15年にかけて「内需主導で、より確かな成長が期待できる」と見通されているが、現実はそれほど楽観できる状態ではない。ドイツやイギリスなどと、南欧諸国との競争力格差は、いぜん開いたままである。こんご、南欧諸国の人びとは、財政再建のためにいっそうの歳出削減と増税受け入れ姿勢を余儀なくされるのだろう。

 IMF(国際通貨基金)は、2014年世界経済について、先進国の景気回復やユーロ圏がプラス成長に転じたことなどから、GDPが前回(13年10月)比0.1ポイント上回る3.7%に達するとしている。個別には、日本が3.7%、米が2.8%、中が7.5%の成長率とみている。しかしリスクとして、先進国では物価上昇率が中央銀行の目標を下回る懸念、ユーロ圏ではデフレに陥る懸念と、新興国ではFRBの金融緩和縮小に伴う資金流出による影響などが挙げられている。14年世界経済は、プラスとマイナスのどちらの要因にも働くといった、微妙なバランスの中での船出である。

2013年の企業倒産は件数、負債ともに前年比減少

 ここで、2013年(1~12月期)の倒産動向を概括する。年間の倒産件数は、11,267件(前年比9.9%減)と前年比で4年連続の減少となった。年間を通じ、月間の件数が1,000件台に乗せたのは、5月と7月の2か月に止まった。倒産件数が漸減傾向をたどった結果、1990年(8,364件)以来23年ぶりの低水準となった。背景に、金融機関が中小企業の要請に応えていること、「中小企業金融円滑化法」の期限切れに伴い実施された中小企業金融モニタリング体制の効果などがある。 負債額も、2兆7,844億8,900万円(同27.4%減)と前年に比べ大幅に減少した。負債額が3兆円を下回るのは、1990年(2兆83億9,500万円)以来23年ぶりのことである。これは、負債額「100億円以上」の大型倒産が9,888億2,700万円(同43.8%減)と、前年に比べ大幅に減少したためである。年間を通じ、大型倒産の発生ゼロ月が3か月もあった。さらに大型倒産を負債額「10億円以上」で括ると、1兆7,452億7,300万円(前年比34.2%減)と、これも前年を大きく下回った。
 このうち負債額「1千万円以上」の件数は1万855件(同10.5%減)、負債額は2兆7,823億4,700万円(同27.4%減)である。

 小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業・その他は同20人以下)の倒産件数は、9,900件(同17.6%増)、構成比は前年を20.6ポイント上回る87.9%となった。全体が企業倒産の減少傾向を示している中で、小規模企業の倒産比率は高まっているのが特徴的である。

 業種別では、建設業2,495件(同18.8%減)、製造業1,735件(同5.0%減)、卸売業1,593件(同13.0%減)、小売業1,465件(同2.6%減)、飲食業769件(同6.6%減)、サービス業2,246件(同5.4%減)と、軒並み前年比で減少した。しかも、建設、製造、卸売、小売の4業種は、過去20年間での最小件数となった。全体的に、倒産が抑制された1年間の姿が映し出されている。

 倒産原因別にみると「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」など不況型倒産は、9,201件(同9.9%減)と件数こそ1992年(8,311件)以来の低水準だが、構成比は81.7%と2010年以降4年連続で80%台の高水準が続いている。

 倒産形態別の集計では「破産」「再生手続」「特別清算」など法的倒産が、9,619件(同7.4%減)と減少しているものの、構成比は毎年上昇し続け13年は85.4%、さらに法的倒産に占める「破産」シェアは93.8%と、いずれも過去最高を記録した。

 資本金規模別集計では「個人」と資本金「1億円未満」の倒産は、合わせて11,146件(前年同月比9.7%減)と前年を1,194件下回ったが、構成比は98.9と0.2ポイント上昇した。また、従業員規模別の集計では9人以下の倒産が9,545件(同19.1%増)、構成比は前年を20.6ポイント上回り、1996年以来の80%台となる84.7%に上った。しかし、これには2012年10月以降、従来「不明」とされていた倒産について資料等で従業員数の確認を行うようになったために「4人以下」に移動していることが関係しており、9人以下と「不明」を合わせた構成比は85.2%と、前年から0.5ポイントの上昇に止まった。

 東京商工リサーチの発表によると、東日本大震災関連の倒産は、前年比で30.0%減の332件と年間を通じて緩やかな減少傾向が続いた。金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産は、456件と前年の1.7倍にまで増加した。東証1・2部上場企業の倒産は、7年ぶりにゼロだった。  12月期単月の倒産件数は780件(前年同月比15.4%減)、負債額は1,345億3,700万円(同35.5%減)である。このうち負債額「1千万円以上」は750件(同15.7%減)、負債額は1,343億7,700万円(同35.5%減)である。詳細は次項以降に記述する。