2014年10月(2014年8月調査)

[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/10/14 1:09 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/10/14 1:09 に更新しました ]

輸出企業の収益構造が変化

 米国経済が徐々に力強さを取り戻している。第2四半期のGDP確報値は年率換算で前期比4.6%増と上方修正され、米国の景気回復が改めて底堅いものとして認識され始めた。一方で欧州経済の見通しが不明確であることやアジア新興国経済の減速によって生じるリスク回避の動きから円相場も安定感を欠き、日経平均株価は9月18日に8か月ぶりに1万6千円台を回復したものの、その後伸び悩み一進一退の様相を呈している。日本経済をめぐる市場の関心は7-9月のGDP動向に向かっており、消費税増税による影響が一過性のものか否か、再増税の判断にも注目が集まっている。
 為替が対米ドルで110円を伺う水準でも輸出の伸び悩みが続いている背景には、グローバル企業で生産拠点の海外移転が進み輸出が増えにくい構造になった事に加え、輸出企業で新興国企業との価格競争になりやすい汎用品市場からの撤退が進んだことも影響しているとみられる。つまり、生産品目をより付加価値の高い高価格品や先端技術分野市場にシフトして円安局面でも値下げをせず、販売数量の増大よりも高い利益率を求める構造への変化である。
 このようなグローバル市場での大量生産、大量販売による成長モデルからの脱却は少子高齢化社会を迎える先進国が進むべき方向であるともいえる。しかし企業収益は過去最高となる一方で、消費増税や光熱費の上昇などによる購買力の低下は進み、国内景気回復の実感は乏しい。個別の業績改善が全体へ波及するための環境整備が急がれる。

企業倒産件数が再び800件割れ 

 8月の企業倒産は759件(前月比17.0%減、前年同月比12.2%減)、負債総額は1,359億2,400万円(同4.8%増、同18.4%減)と件数は2013年12月以来の800件割れで、1990年9月(654件)以来の低い水準となった。 業種別では建設業の「建築工事」が7月までの高水準での推移からやや落ち着きを取り戻した。また、不況型倒産(販売不振、既往のシワ寄せ、売掛金回収難の合計)の構成比は80.7%となり、前月比、前年同月比ともに低下した。

[01]8月の主な動き

2014/09/25 5:23 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:33 に更新しました ]

(1)倒産件数は1990年9月以来の低水準
 8月の倒産件数は759件(前月比17.0%減、前年同月比12.2%減)、負債額は1,359億2,400万円(前月比4.8%増、前年同月比18.4%減)で1990年9月以来の低い水準となった負債額1千万円以上の倒産は727件(前月比17.6%減、前年同月比11.2%減)、負債額は1,357億6,400万円(前月比4.8%減、前年同月比18.3%減)であった。

(2)小規模企業倒産が2014年に入って初めて700件割れ
 小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下)の倒産は671件(前月比17.6%減、前年同月比12.7%減)で月次倒産全体に占める割合は88.4%(前月比0.6ポイント低下、前年同月比0.6ポイント低下)と依然高い水準ながら全体を上回る減少率により、構成比を下げた。

(3)不況型倒産の構成比低下
 負債額1千万円以上の原因別倒産件数は「販売不振」の件数減少が続いており、また8月は「既往のシワ寄せ委」「売掛金回収難」の減少も相まって「不況型倒産」は587件(前月比20.6%減、前年同月比12.3%減)となり、構成比は80.7%(前月比3.1ポイント低下、前年同月比1.0ポイント低下)と低下した。

(4)建築工事業の倒産は一段落、サービス業は依然厳しく
 7月に66件と高い水準の倒産件数を記録した建設業の中分類である「建築工事業」は8月に37件と一応の落ち着きを取り戻した格好。一方でサービス業は全体的な件数減少の波にのれず、「生活関連」「企業関連」で前年同月を上回った。とくに「生活関連」では4月に60件を超える件数を記録したのち、6月以降は50件を超える水準で推移している。
 消費税増税による経済への影響が懸念される中、消費動向に影響を受けやすい小売業や他業種についても引き続き注視したい。


[02]負債規模別の動向

2014/09/25 5:23 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:31 に更新しました ]

~すべての区分で倒産件数が前年同月を下回る~

 負債規模別の倒産件数は、すべての区分で前年同月を下回った。
負債額1000万円未満の倒産は32件(前月比3.0%減、前年同月比28.9%減)で、月次倒産に占める割合は4.2%(前月比0.6ポイント上昇、前年同月比1.0ポイント低下)だった。4月に40件を超えたものの、以後は30件台で推移している。
 負債額100億円以上の大型倒産は(株)笠屋町不動産(負債額200億円、貸事務所業、特別清算、大阪府)1件である。

[03]業種別の動向

2014/09/25 5:22 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:30 に更新しました ]

~「建築工事」の件数は一段落~

 負債額1千万円以上の業種別倒産件数は、「サービス業」「その他」を除くすべての区分で前年同月を下回った。
「建設業」の中分類では5月以降50件を超える水準で推移した「建築工事」が37件(前月比43.9%減、前年同月比19.6%減)と落ち着きを取り戻した格好で、その他の中分類区分でも前年同月を下回った。
 「サービス業」では「生活関連」「企業関連」で前年同月を上回り、とくに「生活関連」は4月に60件を超えた後、6月以降再び50件を上回る水準で推移している。

[04]原因別の動向

2014/09/25 5:22 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:28 に更新しました ]

~「販売不振」が15年半ぶりの低水準~

 負債額1千万円以上の原因別倒産件数は 「放漫経営」を除きすべて前年同月比で減少となった。
 「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」がともに前年同月比で大きく減少し、「3区分を合計した「不況型倒産」は587件(前月比20.6%減、前年同月比12.3%)となった。
 これに伴い、月次倒産に占める「不況型倒産」の割合も減少し、前月を3.1ポイント、前年同月を1.0ポイント下回る80.7%となった。「販売不振」500件は1999年2月(478件)以来、「既往のシワ寄せ」は2012年1月(78件)以来の低水準であった。

[05]従業員規模別の動向

2014/09/25 5:21 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:28 に更新しました ]

~小規模企業倒産の構成比は変わらず~

 負債額1千万円以上の従業員規模別倒産件数は、「30人以上99人以下」と「不明」を除く区分で前年同月比横ばい、または減少した。
 増加した区分はいずれも前年同月の発生件数が少なかったことによる反動増であり、全体的にみて減少傾向である。「5人以上9人以下」100件は1990年5月以来の低水準となった。
 小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は従業員20人以下)の倒産件数は671件(前月比17.6%減、前年同月比12.7%減)、月次倒産に占める割合は88.4%(同0.6ポイント低下、同0.6ポイント低下)だった。全体的な件数減少に伴って件数自体は減少傾向であるが、構成比は88~89%前後での推移が続いている。



小規模企業倒産件数、構成比、前年比の推移

調査年月

月次倒産
全体

小規模企業
倒産件数

構成比

前年比

20128

998

669

67.0%

-3.2%

20129

956

627

65.6%

-1.3%

201210

1,072

729

68.0%

12.3%

201211

996

839

84.2%

14.6%

201212

922

801

86.9%

18.3%

20131

962

850

88.4%

32.6%

20132

950

828

87.2%

27.6%

20133

963

835

86.7%

11.9%

20134

934

812

86.9%

20.7%

20135

1,080

961

89.0%

29.0%

20136

935

815

87.2%

32.3%

20137

1,068

951

89.0%

39.0%

20138

864

769

89.0%

14.9%

20139

841

727

86.4%

15.9%

201310

988

869

88.0%

19.2%

201311

902

792

87.8%

-5.6%

201312

780

691

88.6%

-13.7%

20141

908

807

88.9%

-5.1%

20142

808

708

87.6%

-14.5%

20143

848

750

88.4%

-10.2%

20144

955

832

87.1%

2.5%

20145

853

735

86.2%

-23.5%

20146

900

804

89.3%

-1.3%

20147

915

814

89.0%

-14.4%

20148

759

671

88.4%

-12.7%

[06]資本金規模別の動向

2014/09/25 5:21 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:27 に更新しました ]

~「個人」の倒産件数が集計開始以来最少~

 負債額1千万円以上の資本金規模別倒産件数は、「5000万円以上1億円未満」で前年同月比64.3%増と大幅な増加を示したが、件数自体は過去12か月の平均(26件)を下回る23件であり、前年同月の件数(14件)が少なかったことの反動増である。
 「個人」は1979年4月の集計開始以来最少となる94件で、これまでの最少であった116件を下回り初めて100件を割った。

[07]営業年数別の動向

2014/09/25 5:20 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:26 に更新しました ]

~営業年数10年以上の区分を中心に減少~

 負債額1千万円以上の営業年数別倒産件数は、「2年未満」で前年同月比66.7%の高い増加率を見せたほか、「6年以上10年未満」で同7.0%増加した。
 一方、「2年以上6年未満」10年以上の3区分はいずれも前年同月を下回った。
 10年以上の区分で前年同月比が減少しているのは主に「販売不振」や「既往のシワ寄せ」などによるもので、詳しくは別掲記事(倒産原因・営業年数別の動向)を参照されたい。

[08]倒産形態別の動向

2014/09/25 5:20 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:25 に更新しました ]

~「破産」は2007年9月以来の低水準~

 負債額1千万円以上の倒産形態別件数は、「特別清算」「その他(内整理)」で前年同月を上回った。
 「破産」は2007年9月(576件)以来となる低水準、また「銀行取引停止処分」も2か月連続で100件を下回る低い水準となった。
 月次倒産に占める法的倒産の割合は85.4%(前月比4.7ポイント低下、前年同月比0.5ポイント上昇)、法的倒産に占める「破産」の割合は93.6%(同0.7ポイント低下、同1.2ポイント低下)となった。

[09]倒産原因・営業年数別の動向

2014/09/25 5:11 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/25 5:24 に更新しました ]

~営業年数10年以上の「不況型倒産」は前年比13.6%減~

 負債額1千万円以上の倒産原因・営業年数別倒産件数のクロス集計をみると、営業年数10年以上の区分で「販売不振」と「既往のシワ寄せ」減少の度合いが高かった。また、10年以上30年未満の2区分は「放漫経営」「他社倒産の余波」でも前年同月を下回っている。
 営業年数10年以上の「不況型倒産」※は412件で前年同月(477件)を13.6%下回り、月次倒産に占める割合は前年同月を1.5ポイント下回る56.7%だった。
 一方、営業年数「2年未満」は「販売不振」「放漫経営」「過少資本」で前年同月を上回り、全体では前年同月比66.7%増(6件増)となった。

※不況型倒産=「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」の合計


倒産原因・営業年数別倒産件数(負債額1千万円以上)

倒産件数

2年未満

2年以上
6
年未満

6年以上
10
年未満

10年以上
20
年未満

20年以上
30
年未満

30年以上

不明

合計

販売不振

6

33

66

108

101

130

56

500

放漫経営

6

15

6

5

1

7

5

45

他社倒産の余波

0

5

8

6

8

10

1

38

過少資本

3

2

4

8

9

5

2

33

既往のシワ寄せ

0

2

6

16

13

43

6

86

売掛金回収難

0

0

0

1

0

0

0

1

その他

0

3

2

6

6

7

0

24

合計

15

60

92

150

138

202

70

727

 

倒産原因・営業年数別倒産件数前年同月比増減率(負債額1千万円以上)

件数増減率

2年未満

2年以上
6
年未満

6年以上
10
年未満

10年以上
20
年未満

20年以上
30
年未満

30年以上

不明

合計

販売不振

200.0%

-8.3%

8.2%

-10.7%

-11.4%

-7.8%

-25.3%

-9.1%

放漫経営

50.0%

50.0%

0.0%

-16.7%

-50.0%

16.7%

150.0%

25.0%

他社倒産の余波

-100.0%

-37.5%

0.0%

-57.1%

-38.5%

42.9%

-

-25.5%

過少資本

50.0%

100.0%

300.0%

33.3%

80.0%

-64.3%

-66.7%

-5.7%

既往のシワ寄せ

-

-71.4%

50.0%

-36.0%

-53.6%

-6.5%

20.0%

-25.2%

売掛金回収難

-

-100.0%

-100.0%

-

-100.0%

-100.0%

-

-75.0%

その他

-

-25.0%

-60.0%

20.0%

0.0%

-12.5%

-

-14.3%

合計

66.7%

-10.4%

7.0%

-15.3%

-18.3%

-9.4%

-20.5%

-11.2%

 

倒産原因・営業年数別倒産件数前年同月比増減率(負債額1千万円以上)

件数増減数

2年未満

2年以上
6
年未満

6年以上
10
年未満

10年以上
20
年未満

20年以上
30
年未満

30年以上

不明

合計

販売不振

4

-3

5

-13

-13

-11

-19

-50

放漫経営

2

5

0

-1

-1

1

3

9

他社倒産の余波

-1

-3

0

-8

-5

3

1

-13

過少資本

1

1

3

2

4

-9

-4

-2

既往のシワ寄せ

0

-5

2

-9

-15

-3

1

-29

売掛金回収難

0

-1

-1

1

-1

-1

0

-3

その他

0

-1

-3

1

0

-1

0

-4

合計

6

-7

6

-27

-31

-21

-18

-92


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