[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/09/10 1:08 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/09/10 1:08 に更新しました ]
在外企業の利益還流がカギ

 9月に発表された4~6月期GDP(2次速報)は1次速報から下方修正された。当初想定よりも企業などの設備投資におけるマイナスが大きかったためだという。消費税増税による個人消費の低迷だけでなく、企業の設備投資が足踏みをしていることが示された格好だ。
 一方、国際収支統計では経常収支が4,167億円の黒字となった。貿易収支は8,281億円の赤字であるが、国内企業が行った海外投資に対する配当や収益の送金額が大きかったことが黒字の要因となった。
 長らく続いた円高によって多くの国内企業は海外に子会社を設立して活動拠点を移し、為替リスクを回避してきた。しかし、為替水準が円安方向に転換した現在でも国内企業による海外企業のM&Aは増加を続けている。
 国内市場の縮小が見込まれる中、新興国の旺盛な需要や安い労働力を求めて収益源を海外投資へシフトする動きは依然として活発で、今年7月までのM&A件数は前年同月を8.1%上回る状況であり、その金額は同37.5%増と活況を呈している。つまり企業と資本の海外進出は現在進行形で拡大しているのである。
 今後、企業が海外で得た利益を国内に還流させずに現地で再投資する動きが活発化すれば資金が国内への投資や雇用に向かわず、デフレの克服はいっそう困難になることが予想される。ことし1月にオバマ大統領が一般教書演説で米国内への生産回帰に言及したことも、在外企業の利益を国内に還流させ、投資や雇用に向かわせることの難しさを物語っている。
 わが国においても内需の拡大に所得増大や雇用の拡充が欠かせないことは同じであり、在外企業の利益を国内への投資や研究開発に向かわせ、最終的には株式配当によって企業収益を家計に取り込む循環が出てくることを期待したい。

建築工事業の倒産が急増

7月の企業倒産は915件(前月比1.7%増、前年同月比14.3%減)、負債総額は1,296億6,100万円(同32.5%減、同35.1%減)と件数は前月比でわずかに増加したものの900件台前半での推移であり、大型倒産の減少に伴う負債額減少の傾向に大きな変化はなかった。 業種別では「飲食業」「その他」を除き前年同月を下回ったが、「建設業」の内訳で「建築工事」が2012年9月以来の高い水準となり今後の推移も注目される。