[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/08/11 23:38 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2014/08/11 23:52 に更新しました ]
企業の設備投資が増加

 4月の消費増税以降、いったん14,000円台を割り込んだ日経平均株価は上昇と下落を繰り返しながら7月末には15,700円を超える水準に達した。しかし、その後10日足らずで最安値は15,000円を割り込むなど、やや乱調な推移を繰り返している。不安定な中東情勢や欧州経済によっても左右されるが、わが国の中長期的な展望の不透明感も無関係ではないだろう。

 日本政策投資銀行の調査によると、全産業の国内投資計画は2013年度実績と比べ約15%の増加となった。その3割は現状設備の「維持・補修」に充てられ、生産能力の向上にかける投資は減少しているというが、産業界の歯車にも、ようやく油が回り始めた格好だ。
 マクロの視点で見た場合、賃金上昇や設備投資の増加によって日本経済は緩やかに景気回復に向けて進み始めてはいるものの、住宅の空き家率は過去最高に達し、小売りの現場では依然として厳しい価格競争が続いている。

 モノやカネが動き始めると「ヒト」の問題、とりわけ少子高齢化や技能承継などの問題を先送りにすることはできない。一時期、たて続けに発生した化学工場などでの爆発事故では設備の老朽化が指摘された。しかし、詳細な調査の結果浮き彫りになったのは作業員の不手際や判断ミスなど「現場力」の不足だった。作業マニュアルが想定していない非常事態において、最終的に頼れるのは経験と勘でしかない。設備の老朽化は投資によって克服できるが、経験を積み上げ、勘を磨くには長い年月が必要だ。化学薬品や素材分野だけでなく、高い世界シェアをもつ我が国の産業にはこうした例が少なくないだろう。

 若年層の貧困問題と関連が深いとされる非正規雇用の拡大は少子化や技能承継の問題とも無関係ではない。モノやサービスの付加価値を上げて労働生産性を高めるために政府は様々な検討を重ねているが、いずれにしてもわが国労働者が人間らしい生活を保障され、国際的な競争力を維持できる健全な成長社会となることを願いたい。

建設業が前年同月比増加に転じる

 2014年6月の企業倒産件数は900件(前月比5.5%増、前年同月比3.7%減)、負債額は1,922億1,800万円(同11.3%増、同49.9%減)であった。負債額は大型倒産の減少に伴い大幅に前年同月を下回ったが、件数の減少ペースは鈍化した。業種別では「建築工事業」「設備工事業」の増加から「建設業」が28か月ぶりに前年同月を上回ることとなった。資材や燃料費、人件費の高騰は運輸業など他の業種においても業績にマイナスの影響を及ぼす為、今後の動きにも注視したい。