[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/05/08 1:36 に Matsumoto Norikazu が投稿
増税の影響は今後の所得次第

 4月の消費税増税から1か月が経過した。事前の予想どおり自動車販売台数は前年同月比11.4%の減少であった。3月の同14.5%増から実に25.9ポイントの低下であるが、各社の報道によれば増税後の自動車、小売業界の売り上げ減少は想定内で、今後は徐々に売り上げを戻すだろうとの見方である。

 それでは、これまでの個人消費はどうであろうか。消費税増税後初めて迎えた大型連休で国内の主要な観光地を訪れる人は例年並み、あるいはそれ以上と報じられている。もっとも今年のゴールデンウィークが飛び石連休で長期間の旅行に向かないことや、外国人観光客の増加などが後押ししている側面もあるが、過度な消費抑制の動きはみられず、国民の景気回復への期待感を表すものといえるだろう。

 みずほ総合研究所の試算によると、4月に総務省が発表した東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の消費税課税対象品目の前年比は3月の0.9%増に対し4月は3.9%増であり、全体としては消費税増税分がそのまま物価に上乗せされた形である。ただし詳細に見ると販売価格の端数調整や調達コストの上昇による値上げ、あるいは増税前の駆け込み需要の反動減からくる値下げも混在し、品目別にはかなりのバラつきがある。

 4月の景気ウォッチャー調査は現状判断の分かれ目である50を上回る57.9を示したが、先行き判断については34.7と悲観的な見通しを示した。公立高校の授業料支援制度改正や高齢者の医療費負担増、高速道路の割引制度廃止、さらには消費税増税が経過的に適用される公共料金の値上がりによる生活費・教育費の上昇がこれ以上消費マインドを冷やさないよう願いたい。増税がもたらす景気への影響は未だ不透明だが、労働者の可処分所得が今のままでは購買意欲の低下は避けられないだろう。今後の中期的な所得や雇用情勢の動向が明暗を分けそうだ。

 2月の経常収支は4か月続いた赤字を脱し6,127億円の黒字を計上した。鉱物性燃料や自動車を中心に輸出が増加し、貿易収支の赤字幅が縮小したことが大きな要因だ。国内消費の減少が一時的にでも見込まれる中で景気回復の切り札が輸出の拡大であるとすれば、新興国経済の減速が日本経済にもマイナスの影響を及ぼすことは避けられない状況である。

 海外の動向に目を向けると、中国の国家統計局が発表した4月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は景気判断の分かれ目である50を上回る50.4となり3月の50.3をわずかに上回った。一方で英マークイットが発表した4月のHSBC中国製造業PMIは48.1で3月の48.0をわずかに上回るものの景気の減速は明白となった。その背景には、政府による過剰生産能力の削減政策や環境基準の強化といった形で従来の高成長戦略から持続性重視への転換の動きが生産能力の低下を招いている一面もあり、さらには資金調達コストの上昇が足かせとなっている。

 米国の個人所得や個人支出は順調な回復を示し、4月の雇用統計もおおむね改善している。しかし失業率が依然として高い水準にあることや平均賃金、住宅着工件数の伸び悩みもみられ、すべてが順風満帆とはいかないようだ。イエレンFRB議長は今後の金融緩和縮小について労働市場の改善が続く限り継続し、金利の正常化には時間がかかるとの見解を示している。

 EUは米国と同調しながらウクライナ南部クリミア自治共和国を実効支配するロシアに対する段階的な制裁措置を行っている。しかし、EU全体で消費するLNGの約30%がロシアからの輸入であり、そのうち60%がウクライナを通るパイプラインからの供給である欧州諸国にとって複雑に利害が絡み合う問題でもあることから、EU-ロシア間、またロシア-ウクライナ間の対立が決定的となった場合には経済に深刻な影響を及ぼすこととなろう。

 3月の企業倒産は848件(前月比5.0%増、前年同月比11.9%減)で前年同月比は8か月連続の減少となった。負債額は1,171億4,300万円(前月比0.7%増、前年同月比26.5%減)と前年同月比で大幅に減少した。特に負債規模10億円以上の2区分は件数ベースで前年同月比46.9%減、負債額は同32.3%減となった。
 また、2013年度(平成25年度)の倒産件数は10,956件(前年度比9.5%減)、負債額は2兆7,771億7,000万円(同9.8%減)であった。年度集計の詳細については別資料で公表する。