[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/04/01 23:50 に Matsumoto Norikazu が投稿
景気は駆け込み需要の反動で一時的な落ち込み

 新年度入りである。景気回復で経済指標の改善が進み、事業環境はほぼ順調に推移している。その一方で、いよいよ消費税の増税がスタートした。一時的な消費の落ち込みは避けられないだろう。こんご景気が持続的な成長を遂げていくためには、政策の下支えだけでなく、輸出回復と賃上げという二つの要素を満たしていく必要がある。ひところは、円安が輸出伸長の切り札とされたが、最近は円安が必ずしも輸出増、収益増につながらない経済構造になってきた。企業の海外展開で部材の現地調達が進んでいるからだ。賃上げについては、大手企業でそれなりに実施されたが、問題はこの動きが中小企業にどれほど波及するかである。賃上げが浸透すれば、多少なりとも増税ショックは和らぐのだが、もちろん企業にはそれぞれの事情がある。政府が笛を吹くからといって、皆が踊りだすとは限らない。難しい局面である。

 経済指標のいくつかをみてみよう。昨年10~12月期のGDP(国内総生産)は、物価変動を除く実質ベースで年率換算0.7%増と4期連続のプラス成長となったものの、2月発表の速報値から下方修正された。名目GDPも、年率換算1.2%増となったが、こちらも一次速報から下方修正された。

 1月の鉱工業生産指数は104.1(前月比4.0%上昇)と2か月連続のプラス、しかも5年3か月ぶりの高水準となった。円安による輸入物価の上昇が主因だが、徐々に耐久消費財などにも値上がりが広がっている。先行きについては、2月が1.3%上昇、3月は消費税増税後の反動減を見越したメーカーが減産体制を取る可能性をみて減速予測だが、基調判断は「持ち直しの動きで推移」と前回に据え置いた。

 世帯当たりの消費支出からみた個人消費は底堅く推移、1月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)も、前年同月に比べ1.3%上昇した。上昇は、8か月連続である。エネルギー価格をはじめ、テレビ、パソコン、エアコン、冷蔵庫などの価格も上がった。脱デフレの方向に一定の前進がみられる。厚生労働省の1月有効求人倍率は、前月比0.1ポイント上昇の1.04倍で14か月連続の改善を示した。

日銀は、3月の金融政策決定会合で景気の現状について「緩やかに回復を続けている」との判断を据え置くと同時に、現行の金融緩和策の継続を決めた。ただ輸出については、新興国経済のもたつきが影響しているとして、判断を「持ち直し」から「横ばい圏内」に下方修正した。景気回復のカギは、輸出の拡大に絞られそうだ。設備投資については、先行き企業収益の改善とともに緩やかに増加すると見通している。

 ところで、1月の経常収支は、1兆5,890億円の赤字と1985年以降最大の赤字幅を記録した。円安で輸入燃料費の負担が重く、貿易赤字が慢性化してきたことによる。このため13年度の収支全体のマイナスも懸念されるようになってきた。収支全体がマイナスとなれば、日本の財政への信認が揺らぐ恐れがでてくる。財政と経常収支の「双子の赤字」に陥らないための方策が急がれる。

 海外動向はどうだろう。米国では、1月の個人消費、建設支出が底堅く推移、2月の製造業景況感指数も良好である。もっとも、景気回復の息の長さを支えているのは、住宅市場の動きといえる。

 ECB(欧州中央銀行)は、3月の定例理事会で政策金利0.25%の据え置きを決めた。EU圏の13年10~12月期GDP(国内総生産)成長率が、年率換算で1.1%増と3四半期連続のプラス成長を確保したことが背景にある。

日米欧など先進7か国は、ロシアのウクライナ南部クリミア半島編入に反発、対ロ経済制裁を強めるとの警告を発している。実行されるようなことになると、こんごの世界経済に深刻な影響を及ぼす可能性も否定できなくなってきた。とくに欧州経済にとって、対ロ経済制裁の強化は景気の下押し要因となりそうだ。

 英HSBCと中国国家統計局が発表した3月の中国製造業購買担当者指数(PMI)は、HSBC発表の指数が景況判断の分かれ目となる50を3か月連続で下回る48.0、中国国家統計局発表の指数は前月(50.2)を上回る50.3であった。HSBC発表
指数の下落は5か月連続で、景気減速がはっきりしてきた。内需不振と鉄鋼など生産過剰業種の一部操業停止などが響いている。こんご政策の下支えがあっても、景気が弱含みで推移するのは避けられないだろう。

  2月期の倒産件数は、808件(前年同月比 14.9%減)と前年比で7か月連続の減少となった。負債額も、1,163億3,000万円(同32.4%減)と大幅に減少、1990年11月以来23年3か月ぶりの低水準を記録した。これは負債額「100億円以上」の大型倒産が発生しなかったことと、同「10億円以上」の大型倒産の負債額が386億9,000万円にとどまったことによる。このうち、負債額「1千万円以上」の件数は782件(同14.6%減)、負債額は1,161億9,500万円(同32.4%減)である。