[00]最近の景気動向と企業倒産

2014/03/10 17:43 に Matsumoto Norikazu が投稿
こんごの景気を左右する輸出と賃上げ

 国内の経済指標は、おおむね順調に推移している。輸出は製造業の海外展開でやや伸び悩んでいるが、個人消費、設備投資などの景気指標は悪くない。そのほか、13年12月の失業率は3.7%と6年ぶりの低水準となり、鉱工業生産指数は1年8か月ぶりの高水準だった。2013年10~12月期のGDP(国内総生産)速報値は、物価変動を除いた実質で前期比年率1.0%(のちに0.7%へ下方修正)
と4四半期連続のプラス成長となった。しかし、輸出や個人消費が伸び悩んだことで、やや減速感がみられる。 
 財務省は、1月の全国財務局長会議で13年10~12月期の経済情勢について、景気判断を7~9月期の「緩やかに回復している」から「回復しつつある」と上方修正した。GDP(国民総生産)が4四半期連続でプラス成長となり、物価も堅調に推移していることなどから、景気は着実に上向きとの認識を示している。 

 実体経済は、どうだろう。上場企業のうち3月期決算企業の4~12月期業績は、大幅な増収益を示し、14年3月期は上場企業の7割近くが増収益を見込まれている。経常利益については、平均30%を超えるとみられている。円安で国際競争力の高まった鉄鋼、自動車、機械などの製造業や、堅調な個人消費に支えられた内需産業、あるいは消費税増税前の駆け込み需要を引き受けた住宅関連などの産業で、収益の向上が見込まれている。その一方で、円安による原材料・燃料の高騰で台所事情の苦しい企業も少なくない。
 政府は、こうした現状を踏まえ、成長力の底上げと経済の好循環を実現させる下支えとして13年度補正予算と14年度予算を成立させた。こんご税制改革を進めていく意向である。 日銀は2月の金融政策決定会合で、金融機関が企業へ融資を支援する制度の延長・拡充を決めた。市場は、この措置を好感している。 

見通しはなおも不透明

 4月以降の景気動向を占うのは、国内的には企業の賃上げ動向と消費税増税後の買い控えをどう和らげるかにあり、海外要因としては米国と新興国の景気動向にかかっている。新興国には、FRB(米連邦制度準備理事会)の金融緩和縮小に伴い投資資金が引き上げられるのではとの懸念から、絶えず経済不安がつきまとっている。
 2月開催の主要20か国財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明で「世界のGDP(国内総生産)を、こんご5年間で2%以上引き上げる」との目標値を採択した。同会議が、GDPの数値目標を示すのは初めてのことである。さらに、世界経済は改善の兆しを示しているものの持続可能な成長とはいえず、多くの先進国には引き続き緩和的な金融政策の必要性を提言の一方、金融政策は物価と成長見通しを踏まえ、世界経済に与える影響に配慮しながら、しかるべき時期に正常化すべきであるとしている。

米国の金融緩和縮小に振り回される新興国経済

 海外動向はどうだろう。FRBのジャネット・イエレン新議長は、2月の議会証言で国際金融市場の動揺について「現段階では米経済のリスクにはならない」として、金融緩和の縮小を継続していく意向と同時に、「14、15年の米国の経済活動や雇用は緩やかに拡大する」との見通しを示している。しかし、FRBの金融緩和縮小に伴い、フラジャイル・ファイブと呼ばれる新興国を中心に、経済不安に陥るのではとの懸念はくすぶっている。
 通貨安でインフレ懸念を強めるトルコ、南アフリカ、インドなどは、金利引き上げに踏み切った。それでも、事態が改善される見通しはついていない。基本的には、新興国自ら海外からの資金流入に頼る経済体質を変えない限り、先進国の金融政策に振り回されることになる。いずれにしても、新興国の混乱は、世界経済の波乱要因となりかねない。

欧州経済の回復と新興国経済の減速

 欧州経済に景気回復の芽が出はじめた。ユーロ圏17か国の2013年10~12月期実質GDP(国民総生産)は、前期比1.1%増(年率)と3期連続のプラスが続いている。さらに、14年もプラス成長を見込む向きが多い。深刻な金融危機に見舞われたスペイン、アイルランドなどの経済が立ち直ってきたことと、堅調な米国経済の動向がプラスに働いている。とはいえ、ユーロ圏全体には懸案要因も多く、回復軌道に乗せるのは容易でない。南欧諸国を中心に失業率は高止まりのほか、金融システムもいぜん不安定な状態におかれているのが気がかりである。  中国では、2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が、前月より1.2ポイント低い48.3と7か月ぶりの低水準が伝えられた。景気の拡大と悪化の判断目安となるDIが「50」を2か月連続で下回ったこともあり、製造業の減速感がでている。