[00]最近の景気動向と企業倒産

2013/08/21 1:20 に Matsumoto Norikazu が投稿
国内の景気マインドは上向き

 7月の参院選では、政府与党が圧勝した。アベノミクスが一定の評価を得たといえる。とはいえ、これから問われるのが成長戦略にどう実効性をもたせるかである。景気の現状は、企業が抱える過剰在庫の調整が進み、回復の足取りがはっきりしてきた。株高による堅調な消費動向、円安を背景にした生産活動の活発化や設備投資の改善傾向などが下地となり、市場マインド・消費者心理は好転している。生産活動は6月末現在で4か月連続の上向き、雇用環境も改善の方向にある。内閣府の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が6か月連続で上昇、これをもとに基調判断を3か月ぶりに「上方への局面変化」と上方修正した。数か月先を予想する先行指数も110.5と2007年6月以降の高水準である。住宅市場では消費税増税前の駆け込み需要がみられる。基本的には日本経済の復調といってよい状況である。

 政府は7月の月例経済報告で、景気判断を「着実に持ち直しており、自律的な回復に向けた動きもみられる」と、10か月ぶりに回復の表現を取り入れた。日銀は7月の金融政策決定会合で、当面「量的・質的金融緩和」策の継続を決めた。日本経済は「前向きの循環メカニズムが働きはじめている」として景気の基調判断を「緩やかに回復しつつある」と7か月連続で上方修正した。
しかし、なお企業の設備投資には力強さに欠け、所得環境の改善も思うように進まず、物価の下げ圧力も解消とはいえない。楽観できる状況にない。金融緩和と財政出動というデフレ克服のツールは整えたが、肝心の民間活力を引き出す成長戦略の実効性には確実性が伴わないからだ。大企業の業績改善によって雇用の改善や賃上げが図られ、GDP(国民総生産)の約6割を占める消費に火がつけば、景気の好循環をもたらすことができる。だが、所得環境が底上げされないまま2014年4月から消費税の増税が実施されれば、せっかく上向きにある景気を冷え込ませかねない。

 海外経済の動向では、米国が住宅市場の底入れや雇用改善を支えに内需回復を軌道に乗せている。FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が、世界の金融市場で大きな関心が持たれている量的金融緩和の縮小について「当面、現在の金融政策を継続する」としたことで、市場の警戒ムードは後退した。とはいえ、いずれ量的金融緩和の縮小は避けられないことだけに、その時期を探る動きがいぜん世界経済の波乱要因であることに変わりはない。EU(欧州連合)では、財政危機をめぐる動きが不安定で、近々プラス成長へ回帰することは期待薄である。中国は製造業指数の低迷で景況感に陰りがみられ、ブラジル、インド、ロシアなど新興国も経済状況に変調をきたしている。これらが世界経済のマイナス要因として潜在している。

 IMF(国際通貨基金)は7月の世界経済見通しで、日本は「消費や輸出に引っ張られ、予想以上の成長」と評価、2013年成長率については2.0%と前回4月の見通しを上方修正した。しかし2014年は世界経済の環境が思わしくないとの判断から前回予想より若干引き下げている。また、EU経済の後退局面は続くが、2014年にはわずかにプラスへと転じると見通し、中国やロシア、ブラジルなど新興国の成長率は、いずれも前回見通しから下方修正している。
ここで2013年上半期(1~6月)の倒産動向を概括する。特色は前年同期に比べ全体の件数や不況型倒産の件数が減る一方、小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業・その他は従業員20人以下)の件数が増加している点にある。
上半期の企業倒産件数は5,824件(前年同期比10.6%減)、負債額は1兆7,997億6,700万円(同10.4%減)となった。上半期の件数としては4年連続の減少、さらに過去20年間の最少を記録した。

 小規模企業の倒産件数は5,101件(同25.3%増)、構成比も87.6%(同25.1ポイント上昇)と大幅に上昇した。個人事業と資本金「1千万円未満」の倒産件数は3,316件(同9.8%減)、構成比は56.9%(同0.5ポイント上昇)、従業員9人以下の件数は4,908件(同25.4%増)、構成比は84.3%(24.2ポイント上昇)、倒産原因別では「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」などの不況型倒産が4,762件(同10.0%減)、構成比は81.8%(同0.6ポイント上昇)、倒産形態別では「破産」「再生手続」「会社更生法」などの法的倒産が4,796件(同9.1%減)、構成比は82.3%(同1.3ポイント上昇)である。業種別では「製造業」の910件(同1.0%増)を除くそのほか業種はいずれも前期比で減少した。東日本大震災関連の倒産は、前年同期に比べ31.4%減の190件に縮小した。

 6月単月の倒産件数は935件(前年同月比7.0%減)と前年同月比で7か月連続の減少で、6月としては過去最少を記録した。負債額は3,838億8,700万円(同111.2%増)で、6月としては5年ぶりに前年同月を上回った。このうち負債額「1千万円以上」の件数は897件(同8.0%減)、負債額は3,837億400万円(同111.3%増)である。
 負債額「100億円以上」の大型倒産は、東京の投資助言・代理業「アイティーエム証券(株)」(負債額1,416億円)、広島の育林業「一般財団法人広島県農林振興センター」(同468億2,800万円)、兵庫のゴルフ場「(株)ウエストワンズ」(同264億円)、東京のゲームソフトウェア「(株)インデックス」(同246億200万円)の4件である。