[00]最近の景気動向と企業倒産

2013/12/17 17:22 に Matsumoto Norikazu が投稿
民需主導の成長へシフトが課題

 師走入りである。経済の1年を振り返ると、アベノミクス効果で景気は「持ち直しから回復」へと、着実に歩を進めている。もっとも、大胆な財政出動、異次元の「量的・質的金融緩和」による初期効果が薄れてきたのも事実である。これからの局面は、脱デフレ・成長という目標達成に向かって、実際面で成長戦略の最先端を担う企業が、賃上げ・雇用改善、設備投資をどう進めるかにかかってくる。

 上場企業の業績が好調である。2013年度上半期は、円安の追い風を受けて自動車、電機など製造業を中心とした企業の増益率が際立った。2014年3月期も、引き続き大幅な増収益が見込まれている。企業の好業績に加え、円安、世界的な株高の流れを映して、日経平均株価はかつてない高い水準で推移している。株高による資産増大の効果で、個人消費の伸びが見込める状況だ。好業績企業では、企業向け減税制度を利用して、こんご賃上げや設備投資を前向きにとらえようとの意向を示すところが少なくないのは心強い。一方で、原材料を輸入に依存する企業などは、コスト負担が大きく収益を圧迫されている。

 景気指標では、7~9月期のGDP(国内総生産)速報値が、物価変動を除いた実質で年率換算1.9%増となった。4四半期連続のプラスである。公共投資の進展と、住宅投資で来年4月からの消費税増税に先立った駆け込み需要が進んだ結果といえる。一方で、輸出はアジア新興国の景気減速で3四半期ぶりのマイナスとなった。こんご、日本経済を持続的な成長につなげるには、財政出動による成長押し上げ効果に頼るのではなく、企業中心の民需主導で所得環境の改善と設備投資の伸びを期待したいところだ。

 当面の景気動向は、増税前の駆け込み需要で個人消費が一巡するまでは、プラス成長が見込める。設備投資は、輸出増や消費の盛り上がりに期待をかけるほかなさそうである。

 日本政策金融公庫の「中小企業景況調査」によれば、10月期売上げ・先行き売上げ見通しDIはともに上昇、プラス水準が続いている。さらに、「全国中小企業動向調査」では、14年1~3月期についても、「持ち直し」の状況が続くとみている。

 海外の動向はどうだろう。米国の7~9月期GDP(国内総生産)速報値は、年率換算で前期比2.8%増となった。この数値は、12年7~9月期以来1年ぶりの高い伸びである。住宅投資の拡大と自動車販売の好調で、内需の底堅い動きが続いている。10月の新車販売台数は、好調を持続しながら前年比10.6%増となった。この結果、2013年の販売台数は、6年ぶりの1,500万台乗せが確実視されている。外需でも中国・EU(欧州連合)の持ち直しが期待できるようになり、景気は回復基調にあるとみていい。とはいえ、10~12月期は成長鈍化の恐れがある。新年度予算案を巡る与野党の対立で、一時的に一部政府機能の停止を余儀なくされたことの影響は免れないだろう。

 金融緩和の縮小については、新しくFRB(米連邦準備制度理事会)の次期議長に選任されたイエレン副議長が、上院の公聴会で「経済の強い回復を促すため量的緩和を続ける」として、当面は市場に大量の資金供給を続ける意向を示している。この発言は、金融緩和の出口戦略に課題が残されているとはいえ、当面の世界経済を落ち着かせる効果はある。

 一方で、マイナス材料視されるのが、個人消費の鈍さと、財政論議を巡る米議会の迷走である。来年1~2月には、暫定予算編成と政府債務の上限引上げを巡る与野党論戦の再燃と議決の先送りが懸念される。しかし、こうした状況の中でNY株式市場は、ダウ平均の高値を更新し続けている。底堅い景況感と企業業績への期待が、先行きの警戒感を凌いでいるようだ。

 ユーロ圏では、7~9月期GDP(域内総生産)が前期比0.1%増(年率換算0.4%増)と2四半期連続のプラス成長が伝えられた。ECB(欧州中央銀行)は11月初旬、圏内適用の政策金利を0.5%から、過去最低の0.24%に引き下げた。圏内の景気が回復基調にあるとはいえ、経済動向はいぜんもろい状態にあると判断、金利面で「緩やかな支援」のメッセージをだしている。政策金利の引下げは、こんごも緩やかな回復を後押しする効果が期待できる。

 中国では、11月の製造業購買者景気指数(PMI)が51.4と10月まで4か月連続した上昇の流れが止まった。政府のインフラ整備への期待から、企業心理は上向きであるが、新規受注指数は内外需とも冴えず、景気の先行きを大きく期待できる状況にはない。

 10月の倒産件数は988件(前年同月比7.8%減)、負債額は1,554億8,100万円(同35.1%減)である。このうち、負債額「1千万円以上」は、959件(同7.3%減)、負債額は1,553億4,500万円(同35.1%減)である。倒産件数は9月(841件)から17.5%増加したものの、10月の倒産件数としては1991年以降の23年間で最少を記録し、負債額は1990年11月以降の23年間での最少額をそれぞれ記録した。

 負債額の前年同月比が大幅に減少した背景には、負債額「100億円以上」の倒産がなく、同「10億円以上」の倒産が22件に止まったことがある。