[00]最近の景気動向と企業倒産

2013/11/13 21:59 に Matsumoto Norikazu が投稿
景気回復の裾野広がる 

 経済指標の多くが、景気回復の広がりを示している。直近では、財務省が7~9月期全国11地域の景気動向でについて「緩やかに回復しつつある」と、3四半期連続で上方修正している。回復の表現がはいるのは、07年10~12月期以来のことである。

 内閣府の8月機械受注は、リーマンショック以来の高水準となったことから、景気の基調判断を「持ち直している」と2か月ぶりに上方修正した。企業の設備投資意欲が、徐々に上向きになってきた。中小製造業の設備投資に限ってみても、日本政策金融公庫の9月動向調査によれば、13年度は前年度実績比7.7%増が見込まれている。財務省と内閣府の7~9月期法人企業景気予測調査では、大企業の景況判断指数(BSI)は、過去最高のプラス12.0となった。先行きも10~12月期が9.8、14年1~3月期が8.5とプラス基調が続くとみている。

 9月景気ウオッチャーの現状判断指数も、6か月ぶりに改善した。消費税増税前の駆け込み需要が反映された格好である。もっとも10月の月例経済報告は、中国向け輸出が伸び悩んだほか、個人消費、設備投資、生産、雇用なども力強さを欠いていることから、景気の基調判断を「緩やかに回復しつつある」として前月に据え置いた。

 企業心理の改善が進んでいるとはいえ、新興国の景気減速や企業の海外生産が進んで輸出が増えにくくなっている点に、先行きの不透明さがある。事実、8月の工作機械受注額は、その約6割を占める海外向けの低迷が響き、前年比16か月連続の減少となった。

 日銀は、10月末の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」の継続を決めた。これに先立つ地域経済報告では、全国9地域すべての景気判断を上方修正した。すべての地域が上方修正されるのは、4か月ぶりのことである。円高修正による経済の活性化や、積極的な財政支出の効果がでており、景気回復が全国的に広がっている。さらに消費税増税前の駆け込み需要も加わり、当面、内需の底堅い推移が期待できるとしている。

 消費税増税は、こんごの景気にどのような影響をおよぼすかが大きな関心事である。政府は、増税実施による景気回復の腰折れを回避しながら、より成長を促すため5兆円規模の景気対策を講じる。成長政策の後押しには企業の協力が欠かせないが、景気対策で企業に賃上げや雇用改善、設備投資増への期待をかけるといっても、強制力を伴うものでもない。それに企業にとっては、国際的には労務費の引き下げ圧力が強い中での賃上げとなると容易でない。しかし、最近はいくつかの好業績企業で賃上げ意向が示されるようになってきた。これら賃上げが、けん引力となって個人消費を刺激する循環に入れば、景気は回復軌道に乗るだろう。

 上場企業の収益力が上向いているのは、明るい材料だ。すでに上半期の決算を発表ずみの企業では、14年3月期に前年比で二桁増の増収益を見込む企業が少なくない。

 海外動向をみてみる。米政府の債務は、法定の上限枠16.7兆ドルに達していた。このため、議会で債務上限引上げ案の成立が求められていたが、財政再建を巡る与野党対立のあおりを受け案は宙に浮いたまま、デフォルト(債務不履行)の危機に直面していた。だが、ようやく議会で与野党が歩み寄り、引上げ案の成立で危機は回避された。同時に、暫定予算の編成で一部閉鎖されていた政府機能も解除され、一時的とはいえやや危機感が薄らいだ。ただし、債務の債務上限枠引き上げは、来年2月までの期限つきで、いぜん財政赤字削減の展望も見えず、世界経済にリスクの火種は残されたままである。先行き不透明のなかで、10月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、当面、現行の量的緩和策の継続を決めた。

 EU(欧州連合)では、加盟各国に財政赤字をGDP(国内総生産)比3%以内に収めるよう求めているが、これに対してイタリアでは反緊縮の動きが強まっている。こんご、財政を巡る政府の舵取りがいっそう難しくなってこよう。域内不安定要因の一つである。

 中国の7~9月期GDP(国民総生産)は、前年同期比7.8%増と3四半期ぶりの増加に転じた。しかし、足元は内外需とも力強さに欠け、先行き不透明である。そのほか新興国の動きも冴えない。

 IMF(国際通貨基金)は、13年の世界経済見通しで成長率2.9%と7月時点よりやや下方修正した。14年成長率は3.6%を見通している。中国など新興国で景気循環のピークが終わりを迎えつつあり、世界の経済成長は下ぶれリスクが残っている、と厳しい見方をしている。日本については、13年が2.0%、14年が1.2%成長とみている。

 ここで13年度上半期(13年4~9月)の倒産動向をざっと紹介、9月単月の動向は次項以降の各論で詳細を記述する。13年度前半の倒産件数は5,722件(前年同期比8.2%減)、負債額は1兆8,001億9,600万円(同5.1%減)と、ともに前年同期比で減少した。

 業種別では、「飲食業」384件(同3.8%増)を除き、そのほか業種はすべて減少した。中でも「建設業」は1,267件(同19.2%減)と前期比で二桁の減少率だった。

 倒産原因別では、「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」など不況型倒産が4,683件(同7.9%減)と前期比で減少した。「販売不振」3,951件(同10.2%減)の減少が寄与している。

 従業員規模別では、「9人以下」の小規模事業所が4,841件(同27.8%増)にまで増え、構成比も前期を23.8ポイント上回る84.6%へと上昇した。資本金規模別にみると、「個人」及び資本金「1億円未満」の倒産は5,659件(同8.1%減)と前期比で減少したものの、構成比の高水準(98.9%)には変わりがない。  倒産形態別では、「破産」「再生手続」「特別清算」など法的倒産が4,900件(同5.0%減)と減少したが、構成比は前期を2.9ポイント上回る85.6%である。