[00]最近の景気動向と企業倒産

2013/03/13 2:24 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2013/03/13 2:24 に更新しました ]

景気は緩やかな上昇局面 

 世界的な株高の様相を呈してきた。とくに日・米では、このところの急ピッチな上げに、大方は必ずいったんは調整が入るはずとの見立てをするが、勢いは止まらない。大幅な金融緩和と積極的な財政出動で、当面の市場心理は好転しているが、問題はこれらが所得環境の改善と連動しないと景気を好循環の軌道に乗せられないというところにある。

 ここ数年来の国内株式市場は、売り買い低迷で沈滞ムード一色に塗りこめられていた。そんな暗さを払拭、今は復活期待の銘柄を中心に年初来の新高値を次々に更新しての快進撃である。米国では、年初から続いている上げ潮に乗り、すでに過去最高値を抜くのではないかとの観測も出ている。背景に日・米・欧の金融緩和がある。主要国の金融緩和で緩んだ余剰資金が、世界的なスケールで国債など安全資産から株式にシフトしている。

 世界景気回復の下地は整ってきたように見える。ECB(欧州中央銀行)は、債務危機国の国債無制限買い入れ、米・FRB(連邦準備制度理事会)や日銀でも年間100兆円規模の国債買い入れなど、大量の資金が市場に供給される。世界経済に占める日・米・欧3地域のシェアはほぼ50%であることを考えると、世界経済の回復期待が一層高まってくる。

 米では、このところ雇用、住宅、消費など一連の経済指標が底固く推移する一方、「シェール革命」の進行が米国経済の成長を押し上げるとの先行き期待感も膨らんでいる。もっとも、こうした背景があるとはいえ、株価の現状は実態を超えた水準との見方もある。事実、歳出の強制削減や債務上限引上げ問題など深刻な財政問題を抱え手放しで楽観できない事情にある。この面から見れば、景気回復の足取りが確かめられたとはいえない、不安定な状況に置かれている。

 欧州では、域内銀行の資金繰りが改善に向かっているとの見方から、債務危機の懸念が一時薄らいだ。しかし、再び欧州危機の懸念が広がりはじめ、世界経済の足取りに冷や水を浴びせている。2月のイタリア総選挙で財政再建派の伸び悩みと反緊縮派の善戦で、政局混迷に陥り、為替相場は一気に円高・ユーロ安へと反転したからだ。当面、イタリア政局の安定化が、世界経済の動向を占う一つのカギとなる。中国の底入れ感も、見極めたい視点である。このところ大気汚染が深刻化しており、これらがこんごの環境規制で生産活動・流通にどのように影響するものか、この点も見通し難い。

 国内の状況は、金融緩和と大型の財政出動で円安・株高となり、この結果、市場心理が好転している。焦点の日銀総裁では、金融緩和に積極的な人事が決まったことも市場には高い評価で受け入れられている。しかし、金融緩和や財政出動はあくまで景気回復の誘い水に過ぎない。規制緩和や実効の伴った成長戦略、目に見える財政再建の足取りが伴わなければ、デフレ克服は絵に描いた餅に終わりかねない。まずは企業の投資を誘い、雇用・賃金の改善など、地道に所得環境を整えていく必要がある。

 内閣府の12月景気動向指数は、9か月ぶりにプラスとなった。数か月後の景気を示す先行指数も2か月ぶりにプラスに反転、景気は新しい局面に入ったとの見方が広がっている。2月の月例経済報告も、景気の基調判断を2か月連続で上方修正、景気が上昇に転じたことを示唆している。円安による輸出環境の改善、上向きはじめた消費者心理など、明るい兆しが浸透しはじめた。住宅部門でも、すでに消費税増税を前にした駆け込み需要がみられる。日銀も2月の金融政策決定会合で景気認識を上方修正し、先行きについて「年央ごろに回復経路に向かう」との見通しを示している。総じて、夏場の参院選までは景気は緩やかな回復軌道をたどるとみられる。

 一方で、輸出額から輸入額を差し引いた1月の貿易収支は、1兆6,294億円と7か月連続の赤字となった。しかも、1979年以降の月間推移で最大の赤字幅を記録したことは、こんごに気がかりを残した。

 政府は、3月末に期限切れとなる「中小企業金融円滑化法」の出口対策として、中小企業の再生支援を担う機関の出資枠拡大、総額2,000億円規模の再生ファンド育成などで激変緩和措置をとる。 

 1月の倒産件数は、962件(前年同月比5.2%減)と3か月連続で前年同月を下回ると同時に、1月としては過去22年間の最小件数となった。「中小企業金融円滑化法」など一連の金融支援が、倒産の発生を抑制している一面がある。負債額も、2,247億6,500万円(同35.7%減)と2か月連続で前年同月を下回り、こちらも1月として過去23年間の最小を記録した。負債額「10億円以上」の大型倒産が前年同月の43件から34件に、さらに同「100億円以上」の大型倒産も前年同月の3件から2件に減少したことが影響した。このうち、負債額「1千万円以上」の倒産件数は934件(同5.2%減)、負債額は2,246億1,500万円(同35.7%減)である。