2013年 3月(2013年1月調査)
[00]最近の景気動向と企業倒産
景気は緩やかな上昇局面 1月の倒産件数は、962件(前年同月比5.2%減)と3か月連続で前年同月を下回ると同時に、1月としては過去22年間の最小件数となった。「中小企業金融円滑化法」など一連の金融支援が、倒産の発生を抑制している一面がある。負債額も、2,247億6,500万円(同35.7%減)と2か月連続で前年同月を下回り、こちらも1月として過去23年間の最小を記録した。負債額「10億円以上」の大型倒産が前年同月の43件から34件に、さらに同「100億円以上」の大型倒産も前年同月の3件から2件に減少したことが影響した。このうち、負債額「1千万円以上」の倒産件数は934件(同5.2%減)、負債額は2,246億1,500万円(同35.7%減)である。 |
[01]1月の主な動き
(1)小規模企業の倒産は850件、構成比は88.4% 小規模企業(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業・その他は同20人以下)の倒産は850件(前年同月比32.6%増)、構成比は前年を25.2ポイント上回る88.4%だった。 (2)不況型倒産の件数構成比は82.4% 「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」など不況型倒産は793件(同1.1%減)で、構成比は前年を3.4ポイント上回る82.4%(負債額「1千万円以上」の集計では82.7%)である。 (3)法的倒産の件数構成比は84.6% 「破産」「再生手続」「特別清算」「会社更生法」などの法的倒産は、814件(同4.0%減)、構成比は前年を1.1ポイント上回る84.6%(負債額「1千万円以上」は84.5%)である。 (4)震災関連倒産は32件 東京商工リサーチの発表によると、震災関連音倒産は32件で、2011年3月以降の累計は1,063件に達した。「中小企業金融円滑化法」の貸付条件変更後の倒産は25件、円高関連は9件である。上場企業と第三セクター等の倒産はなかった。 |
[02]負債規模別の動向
~負債額「1億円未満」の小規模倒産の構成比は71.7%~ |
[03]業種別の動向
~「建設業」の件数は前年比で11か月連続の減少~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数は、「飲食業」74件(前年同月比19.4%増)を除く、そのほか区分はすべて前年比で減少した。「建設業」208件(同8.0%減)が11か月連続の減少、しかも平成5年1月(194件)以来の低水準となったのをはじめ、「卸売業」121件(同18.8%減)も23年8月(115件)以来1年5か月ぶりの低水準、そのほか「製造業」141件(同2.8%減)、「小売業」116件(同6.5%減)、「サービス業」178件(同2.2%減)、「その他」96件(同1.0%減)なども減少した。前年に比べた構成比は、「建設業」(22.9%→22.3%)、「卸売業」(15.1%→13.0%)、「小売業」(12.6%→12.4%)の3業種が低下、「製造業」(14.7%→15.1%)、「飲食業」(6.3%→7.9%)、「サービス業」(18.5%→19.1%)、「その他」(9.8%→10.3%)の4区分は上昇した。 負債額は、「建設業」288億1,600万円(同8.2%減)、「製造業」354億8,700万円(同9.9%減)、「卸売業」213億5,000万円(同17.7%減)、「サービス業」577億4,500万円(同69.3%減)の4業種が前年比で減少、「小売業」204億600万円(同85.1%増)、「飲食業」70億3,000万円(同68.0%増)、「その他」537億8,100万円(同8.5%増)の3区分は増加した。 |
[04]原因別の動向
~「他社倒産の余波」件数が1年5か月ぶりの低水準~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数は、「他社倒産の余波」が43件(前年同月比48.2%減)と平成23年9月(43件)以来1年4か月ぶりの低水準となったのをはじめ、「販売不振」647件(同7.3%減)、「放漫経営」44件(同17.0%減)、「売掛金回収難」2件(同50.0%減)などが前年比で減少、一方「既往のシワ寄せ」が123件(同57.7%増)と7か月連続の増加となったほか、「過少資本」49件(同4.3%増)、「その他」26件(同18.2%増)などの区分は増加した。 前年に比べた構成比は、「販売不振」(70.9%→69.3%)、「放漫経営」(5.4%→4.7%)、「他社倒産の余波」(8.4%→4.6%)、「売掛金回収難」(0.4%→0.2%)の4区分が低下、「過少資本」(4.8%→5.2%)、「既往のシワ寄せ」(7.9%→13.2%)、「その他」(2.2%→2.8%)の3区分は上昇した。 負債額は、「販売不振」1,092億6,200万円(同2.7%増)と「過少資本」167億6,500万円(同118.3%増)の2区分が前年比で増加、そのほか区分は減少した。「放漫経営」139億8,900万円(同30.7%減)、「他社倒産の余波」146億4,900万円(同74.6%減)、「既往のシワ寄せ」636億9,100万円(同55.8%減)、「売掛金回収難」1億9,000万円(同89.4%減)、「その他」60億6,900万円(同46.3%減)である。 負債額「1千万円未満」の動向では、「販売不振」の20件(同4.8%減)、1億1,800万円(同8.3%増)と「他社倒産の余波」の5件(同25.0%増)、2,100万円(同50.0%増)が目立つ。 |
[05]従業員規模別の動向
~対照的な「4人以下」の件数増と「不明」の件数減~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数では、「4人以下」が653件(前年同月比41.0%増)と7か月連続の増加、しかも平成19年5月(665件)以来の高水準となったのが目立つ。これは「不明」が前年の256件から5件(同98.0%減)にまで激減したことと連動している。ほかは「5人以上9人以下」140件(同7.7%増)、「30人以上99人以下」28件(同27.3%増)が増加、「10人以上29人以下」106件(同3.6%減)、「100人以上299人以下」2件(同33.3%減)が減少した。 前年に比べた構成比は、「4人以下」(47.0%→69.9%)が大幅に上昇したほか、「5人以上9人以下」(13.2%→15.0%)、「10人以上29人以下」(11.2%→11.3%)、「30人以上99人以下」(2.2%→3.0%)なども上昇、「100人以上299人以下」(0.3%→0.2%)、「300人以上」(0.1%→0.0%)、「不明」(26.0%→0.5%)の3区分は低下した。特徴的なのは、「4人以下」の著増と「不明」の大幅減で、この結果「9人以下」事業所の件数は793件(同33.7%増)、構成比は前年を24.7ポイント上回る84.9%(負債額「1千万円未満」を含め85.3%)まで高まった。 負債額は、「4人以下」1,200億9,800万円(同40.7%減)、「30人以上99人以下」234億9,400万円(同30.5%減)、「100人以上299人以下」66億8,600万円(同18.6%減)、「不明」11億3,200万円(同97.6%減)と、倒産発生のなかった「30人以上」を含む5区分が前年比で減少、「5人以上9人以下」257億1,200万円(同51.0%増)と「10人以上29人以下」474億9,300万円(同18.1%増)の2区分は増加した。 |
[06]資本金規模別の動向
~「個人」と資本金「1億円未満」のシェアは99.0%~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数は、資本金「1千万円未満」397件(前年同月比2.8%増)と同「5千万円以上1億円未満」35件(同20.7%増)の2区分が前年比で増加、「個人」136件(同16.6%減)、「1千万円以上5千万円未満」357件(同8.9%減)、同「1億円以上5億円未満」7件(同41.7%減)、同「10億円以上」1件(同66.7%減)の4区分は減少した。ほかに同「5億円以上10億円未満」で1件の倒産が発生している。 前年に比べた構成比は、「個人」(16.5%→14.6%)、同「1千万円以上5千万円未満」(39.8%→38.2%)、同「1億円以上5億円未満」(1.2%→0.7%)、同「10億円以上」(0.3%→0.1%)の4区分が低下、同「1千万円未満」(39.2%→42.5%)、同「5千万円以上1億円未満」(2.9%→3.7%)、同「5億円以上10億円未満」(0.0%→0.1%)の3区分は上昇と、まちまちだった。 資本金「1億円未満」事業所は925件(同4.6%減)で、構成比は前年を0.5ポイント上回る99.0%(負債額「1千万円未満」を含め99.1%)である。 負債額は、「個人」41億600万円(同65.1%減)、同「1億円以上5億円未満」73億8,500万円(同88.9%減)、同「10億円以上」180億円(同84.0%減)の3区分が前年比で減少、同「1千万円未満」352億9,300万円(同60.8%増)、同「1千万円以上5千万円未満」1,083億6,100万円(同13.0%増)、同「5千万円以上1億円未満」482億7,800万円(同19.0%増)の3区分は増加した。 負債額「1千万円未満」の件数・負債額は、「個人」7件(同250.0%増)、3,100万円(同210.0%増)、資本金「1千万円未満」21件(同25.0%減)、1億1,900万円(同19.0%減)である。 |
[07]営業年数別の動向
~「2年以上6年未満」の件数は12か月連続で減少~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数は、「6年以上10年未満」113件(前年同月比10.8%増)と「10年以上20年未満」190件(同12.4%増)の2区分が前年比で増加、そのほか区分は減少した。「2年以上6年未満」が83件(同16.2%減)と前年比で12か月連続の減少となったほか、「2年未満」12件(同7.7%減)、「20年以上30年未満」179件(同2.7%減)、「30年以上」258件(同9.8%減)、「不明」99件(同25.0%減)などが減少した。 前年に比べた構成比は、「2年未満」が1.3%の横ばいだったほかは、「2年以上6年未満」(10.1%→8.9%)、「30年以上」(29.0%→27.6%)、「不明」(13.4%→10.6%)の3区分が低下、「6年以上10年未満」(10.4%→12.1%)、「10年以上20年未満」(17.2%→20.3%)、「20年以上30年未満」(18.7%→19.2%)の3区分は上昇した。 負債額は、「2年未満」が3億8,600万円(同98.8%減)と大幅に減少したのをはじめ、 「2年以上6年未満」45億4,800万円(同62.3%減)、「10年以上20年未満」353億300万円(同28.4%減)、「30年以上」1,199億7,900万円(同44.0%減)、「不明」15億8,600万円(同39.7%減)などいずれも二桁の減少率となった。「6年以上10年未満」144億1,200万円(同46.1%増)と「20年以上30年未満」484億100万円(同60.2%増)の2区分は増加した。 負債額「1千万円未満」の件数・負債額は、「2年未満」が件数横ばい・負債額減となったほか、「2年以上~20年未満」の3区分は件数・負債額ともに減少、「20年以上」の2区分と「不明」はともに増加した。 |
[08]倒産形態別の動向
~法的倒産の「破産」シェアは前年を3.9ポイント上回る94.3%~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数は、「破産」744件(前年同月比0.4%増)と「その他」15件(同15.4%増)の2区分が前年比で増加、そのほか区分は減少した。「銀行取引停止」が130件(同14.5%減)と昭和54年4月に集計開始して以来の低水準を記録したのをはじめ、「再生手続」21件(同58.8%減)、「特別清算」23件(同17.9%減)などである。 前年に比べた構成比は、「銀行取引停止」(15.4%→13.9%)、「再生手続」(5.2%→2.2%)、「特別清算」(2.8%→2.5%)の3区分が低下、「破産」(75.2%→79.7%)、「会社再生法」(0.0%→0.1%)、「その他」(1.3%→1.6%)の3区分は上昇した。法的倒産のうち「破産」シェアは、前年を3.9ポイント上回る94.3%(負債額「1千万円未満」を含め94.5%)である。 負債額は、「銀行取引停止」361億8,700万円(同35.4%増)、「破産」1,238億3,200万円(同32.5%増)、「その他」15億8,800万円(同19.9%増)の3区分で増加、「再生手続」343億800万円(同82.3%減)、「特別清算」219億8,900万円(同35.3%減)の2区分で減少した。 |
[09]倒産原因・営業年数別の動向
~件数・負債額ともに前月比で増加区分が減少・減少区分が増加~ 負債額「1千万円以上」で倒産原因と営業年数の関連をみると、件数は全49区分のうち増加が19区分、減少が21区分、横ばいが9区分、負債額は増加が19区分、減少が27区分、横ばいが3区分だった。件数・負債額ともに、前月に比べ増加区分が減少、減少区分が増加している。件数で比較的変動幅の大きかった区分は、「過少資本」の「2年以上6年未満」7件(前年同月比250.0%増)、「既往のシワ寄せ」の「6年以上10年未満」15件(同114.3%増)、「10年以上20年未満」31件(同181.8%増)などである。 負債額では、「放漫経営」の「2年以上6年未満」8,000万円(同99.0%減)、「10年以上20年未満」70億600万円(同1344.5%増)、「不明」2,000万円(同95.6%減)、「他社倒産の余波」の「2年未満」2,500万円(同99.9%減)、「6年以上10年未満」69億3,900万円(同1070.2%増)、「不明」3,500万円(同250.0%増)、「過少資本」の「2年以上6年未満」8億3,200万円(同1385.7%増)、「6年以上10年未満」12億100万円(同236.4%増)、「10年以上20年未満」18億1,300万円(同193.4%増)、「30年以上」120億9,200万円(同100.3%増)、「既往のシワ寄せ」の「2年以上6年未満」9億8,200万円(同158.4%増)、「20年以上30年未満」264億6,000万円(同322.8%増)、「売掛金回収難」の「30年以上」4,000万円(同97.1%減)、「その他」の「6年以上10年未満」3億8,600万円(同687.8%増)、「10年以上20年未満」13億9,000万円(同1130.1%増)などである。 |
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