2013年 1月(2012年11月調査)
[00]最近の景気動向と企業倒産
テーマはデフレ脱却と円高克服 |
[01]11月の主な動き
(1)小規模企業の倒産構成比は前年を19.1ポイント上回る84.2% 小規模企業(製造業・その他は従業員数20人以下、商業・サービス業は同5人以下)の倒産件数は839件(前年同月比14.6%増)、構成比は前年同月を19.1ポイント上回る84.2%である。 (2)不況型倒産の件数構成比は82.5% 「販売不振」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」など不況型倒産の件数は、822件(前年同月比12.2%減)、構成比は前年同月を0.8ポイント下回る82.5%(負債額「1千万円以上」の集計では82.7%)である。 (3)法的倒産の構成比は84.5% 「破産」「再生手続」「特別清算」「会社更生法」など、法的倒産は842件(前年同月比10.5%減)、構成比は前年を0.8ポイント上回る84.5%(負債額「1千万円以上」は84.0%)、「破産」の法的倒産に占めるシェアは94.2%(同94.1%)に上る。 (4)震災関連の倒産件数は累計1,003件に 東京商工リサーチの発表によると、震災関連の倒産は41件が発生、昨年3月以降の累計は1,003件に達した。上場企業の倒産は3か月ぶりに東証一部上場の「(株)サクラダ」1件が発生、「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更後の倒産件数は24件、円高関連では5件が、それぞれ発生した。第三セクターなどの倒産はなかった。 |
[02]負債規模別の動向
~負債額「1億円未満」の倒産構成比は71.8%~ 負債規模別にみた11月の倒産件数は、「1千万円未満」32件(前年同月比10.3%増)、「5千万円以上1億円未満」181件(同2.3%増)、「5億円以上10億円未満」40件(同21.2%増)、「100億円以上」5件(同150.0%増)の4区分が増加、「1千万円以上5千万円未満」502件(同16.1%減)、「1億円以上5億円未満」208件(同19.1%減)の2区分は減少、「10億円以上100億円未満」28件は横ばいだった。 負債額「1億円未満」の小規模企業倒産は715件(同11.1%減)で、構成比は前年を0.3ポイント上回る71.8%だった。 |
[03]業種別の動向
~「建設業」の件数は前年比で9か月連続の減少~ 負債額「1千万円以上」の業種別件数集計では、「卸売業」137件(前年同月比横ばい)と「その他」83件(同13.7%増)を除く、そのほか区分はすべて前年比で減少した。「建設業」が229件(同18.2%減)と前年比で9か月連続の減少となったのをはじめ、「製造業」141件(同4.7%減)、「小売業」123件(同10.2%減)、「飲食業」68件(同20.9%減)、「サービス業」183件(同21.8%減)などである。 前年に比べた構成比は、「建設業」(25.6%→23.8%)、「飲食業」(7.9%→7.1%)、「サービス業」(21.4%→19.0%)の3業種が低下、「製造業」(13.5%→14.6%)、「卸売業」(12.5%→14.2%)、「小売業」(12.5%→12.8%)、「その他」(6.7%→8.6%)の4区分は上昇した。 負債額は、「製造業」が944億5,000万円(同229.8%増)と大幅増となったのをはじめ、「建設業」369億4,000万円(同31.6%増)、「小売業」278億4,600万円(同55.0%増)、「飲食業」40億4,800万円(65.8%増)、「その他」266億2,100万円(同99.2%増)など、いずれも二桁の増加率である。一方、「卸売業」195億8,500万円(同36.3%減)、「サービス業」543億4,600万円(同18.2%減)の2業種は減少した。 |
[04]原因別の動向
~「既往のシワ寄せ」の件数は前年比で5か月連続の増加~ 負債額「1千万円以上」の原因別件数集計では、「販売不振」677件(前年同月比15.7%減)、「放漫経営」44件(同10.2%減)、「過少資本」36件(同25.0%減)、「売掛金回収難」3件(同50.0%減)、「その他」31件(同8.8%減)の5区分が前年比で減少、そのほか「既往のシワ寄せ」117件(同10.4%増)は5か月連続の増加、「他社倒産の余波」56件(同14.3%増)も増加した。 前年に比べた構成比は、「販売不振」(73.3%→70.2%)、「過少資本」(4.4%→3.7%)、「売掛金回収難」(0.5%→0.3%)の3区分が低下、「放漫経営」(4.5%→4.6%)、「他社倒産の余波」(同4.5%→5.8%)、「既往のシワ寄せ」(同9.7%→12.1%)、「その他」(3.1%→3.2%)の4区分は上昇した。 負債額は、「販売不振」1,279億8,600万円(同42.6%増)、「放漫経営」519億1,200万円(同184.2%増)、「他社倒産の余波」520億3,600万円(同570.6%増)の3区分が、いずれも二桁~三桁の増加率となった。一方、「過少資本」28億3,300万円(同73.5%減)、「既往のシワ寄せ」188億7,500万円(同53.9%減)、「売掛金回収難」3億9,700万円(同61.4%減)、「その他」97億9,700万円(同49.1%減)の4区分は、いずれも二桁の減少率である。 |
[05]従業員規模別の動向
~「4人以下」の件数は平成19年5月以来の高水準~ 負債額「1千万円以上」の従業員規模別件数集計では、「4人以下」が前年を100件以上上回る617件(前年同月比22.7%増)となったのが目立つ。これは平成19年5月(665件)以来、5年7か月ぶりの高水準である。そのほか「30人以上99人以下」36件(同80.0%増)、「100人以上299人以下」9件(同800.0%増)なども増加、一方「5人以上9人以下」147件(同7.0%減)、「10人以上29人以下」119件(同9.2%減)、「不明」36件(同87.2%減)の3区分は減少した。 前年に比べた構成比は、「不明」(25.8%→3.7%)を除く、そのほか区分がすべて上昇した。「9人以下」の小規模事業所の倒産件数は764件(同15.6%増)、構成比は前年を18.9ポイント上回る79.3%(負債額「1千万円未満」を含め79.8%)である。「4人以下」の件数増加が、「9人以下」の比率を押し上げている。 負債額は、「5人以上9人以下」160億6,400万円(同43.2%減)、「不明」60億7,400万円(同76.6%減)の2区分を除く、そのほかすべてが前年比で増加した。「100人以上299人以下」が692億3,600万円(同1002.1%増)と大幅に増加したのをはじめ、「4人以下」411億3,600万円(同13.5%増)、「10人以上29人以下」920億2,300万円(同75.0%増)、「30人以上99人以下」393億300万円(同2.6%増)なども増加した。 |
[06]資本金規模別の動向
~「個人」と資本金「1億円未満」の倒産シェアは98.7%~ 負債額「1千万円以上」の資本金規模別件数集計では、資本金「1億円以上5億円未満」10件(前年同月比25.0%増)と同「10億円以上」3件を除く、そのほか区分はすべて前年比で減少した。「個人」166件(同23.1%減)、同「1千万円未満」374件(同9.4%減)、同「1千万円以上5千万円未満」390件(同9.3%減)、同「5千万円以上1億円未満」21件(同19.2%減)である。 前年に比べた構成比は、「個人」(19.7%→17.2%)、同「5千万円以上1億円未満」(2.4%→2.2%)、同「5億円以上10億円未満」(0.2%→0.0%)の3区分が低下、同「1千万円未満」(37.7%→38.8%)、同「1千万円以上5千万円未満」(39.3%→40.5%)、同「1億円以上5億円未満」(0.7%→1.0%)、同「10億円以上」(0.0%→0.3%)の4区分は上昇した。 「個人」を含む同「1億円未満」の倒産件数は、総計951件(同12.4%減)、構成比は前年を0.4ポイント下回る98.7%である。 負債額は、「個人」129億円(同236.1%増)と同「1億円以上5億円未満」302億3,200万円(同411.9%増)は、いずれも前年比で三桁の増加率。同「1千万円未満」195億6,200万円(同21.6%減)、同「1千万円以上5千万円未満」1,069億2,500万円(同1.2%減)、同「5千万円以上1億円未満」290億1,400万円(同34.6%減)の3区分は減少、同「10億円以上」は652億300万円となった。 |
[07]営業年数別の動向
~「20年以上30年未満」のみが前年比で件数増~ 負債額「1千万円以上」の営業年数別件数集計では、「20年以上30年未満」の191件(前年同月比3.8%増)を除き、そのほか区分はすべて前年比で減少した。「2年未満」12件(同40.0%減)、「2年以上6年未満」94件(同19.0%減)、「6年以上10年未満」110件(同10.6%減)、「10年以上20年未満」177件(同2.2%減)、「30年以上」268件(同11.0%減)、「不明」112件(同34.1%減)である。 前年に比べた構成比は、「2年未満」(1.8%→1.2%)、「2年以上6年未満」(同10.6%→9.8%)、「不明」(15.5%→11.6%)の3区分が低下、「6年以上10年未満」(11.2%→11.4%)、「10年以上20年未満」(16.5%→18.4%)、「20年以上30年未満」(16.8%→19.8%)、「30年以上」(27.5%→27.8%)の4区分は上昇した。 負債額は、「2年未満」23億2,900万円(同242.5%増)、「2年以上6年未満」136億6,600万円(同106.2%増)の2区分が前年比で三桁の増加率、「20年以上30年未満」388億4,600万円(同32.6%増)、「30年以上」1,818億2,600万円(同53.2%増)の2区分がそれぞれ二桁の増加率となった。そのほか「6年以上10年未満」83億5,300万円(同26.6%減)、「10年以上20年未満」167億4,600万円(同9.9%減)、「不明」20億7,000万円(同13.5%減)の3区分は減少した。 |
[08]倒産形態別の動向
~「会社更生法」を除く区分はすべて前年比で件数減~ 負債額「1千万円以上」の倒産件数は、前年同月に倒産がなかった「会社更生法」で3件発生したことをを除き、そのほか区分はすべて前年比で減少した。「銀行取引停止」143件(前年同月比13.9%減)、「破産」762件(同10.5%減)、「再生手続」30件(同25.0%減)、「特別清算」15件(同28.6%減)、「その他」11件(同35.3%減)である。 前年に比べた構成比は、「銀行取引停止」(15.2%→14.8%)、「再生手続」(3.7%→3.1%)、「特別清算」(1.9%→1.6%)、「その他」(1.6%→1.1%)の4区分が低下、「破産」(77.7%→79.0%)、「会社更生法」(0.0%→0.3%)の2区分は上昇した。 負債額は、「銀行取引停止」260億8,700万円(同1.7%減)、「破産」910億400万円(同22.0%減)、「その他」12億9,400万円(同49.3%減)の3区分が減少、「再生手続」623億6,500万円(同77.2%増)、「特別清算」184億7,100万円(同171.8%増)の2区分は二~三桁の増加率となった。 |
[09]倒産原因・営業年数別の動向
~件数は増加区分が前月比で減少、減少区分は増加~ 負債額「1千万円以上」で倒産と営業年数の関連をみると、件数は全49区分のうち増加区分が15区分(前月比44.4%減)、減少区分は28区分(同50.0%増)、横ばいが6区分(同33.3%減)となった。負債額は、増加が21区分、減少が26区分、横ばいが2区分である。 件数で比較的、変動幅の大きかった区分は、「他社倒産の余波」の「6年以上10年未満」7件(前年同月比133.3%増)、「過少資本」の「不明」5件(同400.0%増)、「既往のシワ寄せ」の「10年以上20年未満」36件(100.0%増)、「その他」の「10年以上20年未満」12件(同300.0%増)などである。 負債額では、「販売不振」の「20年以上30年未満」322億9,000万円(同116.5%増)、「放漫経営」の「2年未満」3,000万円(同91.4%減)、「30年以上」477億4,100万円(同241.3%増)、「他社倒産の余波」の「2年未満」22億900万円(同2661.3%増)、「2年以上6年未満」60億3,500万円(同513.9%増)、「30年以上」413億4,200万円(同1408.3%増)、「過少資本」の「2年以上6年未満」2億5,300万円(同204.8%増)、「既往のシワ寄せ」の「6年以上10年未満」17億1,800万円(同115.6%増)、「その他」の「6年以上10年未満」3億4,900万円(同193.3%増)、「10年以上20年未満」22億1,400万円(同748.3%増)である。 |
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