[00]最近の景気動向と企業倒産

2012/12/13 19:05 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2012/12/13 20:35 に更新しました ]
景気は下降局面 

 11月は、米国でオバマ大統領の再選、中国のトップ交代、そして12月は日本で突発的な衆議院解散に伴う師走の総選挙入り、韓国でも大統領選の真っ最中である。経済関連では、20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議などと、大きな政治・経済イベントが続いた。しかし、これで世界経済に安定と明るい未来を呼び込めたかというと、ことはそう簡単でない。むしろ各国の視点は、欧州の債務危機、新興国の景気減速などによる世界経済の落ち込みをいかに防ぐかの後処理に注がれ、現状打開に手詰まり感を漂わせている。

 過度な円高への対応に追われている日本では、いくつもの景気指標が弱気に傾いている。
 10月の貿易収支は、5,490億円の赤字と4か月連続の赤字、しかも10月としては過去最大の赤字幅を記録した。年度上半期(4~9月)の貿易統計も、3兆2,190億円(前年同期比90%増)の赤字で、半期ベースで過去最大となった。EU(欧州連合)や中国向けの輸出減、それに中国の日本製品買い控えが響いている。 

 内閣府の10月「街角景気ウォッチャー」は、判断指数が1年5か月ぶりに40を下回った。このため、景気は「このところ弱まっている」から「さらに弱まっている」に下方修正された。下方修正は2か月連続である。先行き判断指数も、好不況の分かれ目となる50を6か月連続で下回った。7~9月期のGDP(実質国内総生産)は3四半期連続のマイナス、10~12月期もマイナスが予想されるなど、現状・先行き見通しのいずれも冴えない。

 11月の月例経済報告は、景気について「このところ弱い動き」として、前月比4か月連続で基調判断を引き下げた。
 実態経済の面では、電機・自動車関連を中心に上場企業の収益減が加速している。とくに電機業界では、シャープ、パナソニック、ソニー3社の赤字幅が国際競争力の低下と円高に苦しめられている現状を端的に映し出している。自動車関連では、米国向けが伸びているものの、尖閣諸島を巡る日中関係の悪化が多大な影響をもたらしている。もっとも、国内的には、復興需要や東南アジア諸国の成長に対応した取り組みなどが、プラス方向に働いてはいる。しかし、低迷する外需を凌ぐほどの力強さはない。 

 世界経済は、欧州の債務危機、新興国の成長鈍化、大型減税の失効と強制的な歳出削減で超緊縮財政が待つ米国の動向などがからみ、先行き不透明感を増している。こうした外部要因で、国内景気は輸出・生産の縮小、企業業績の低迷と設備投資控え、所得・雇用環境の悪化、加えてエコカー補助金の終了に伴う個人消費の冷え込みも見られるようになってきた。景気は、すでに下降局面にあるとみられる。とくに日中関係の悪化は、製造業への影響に止まらず観光面でのダメージも大きい。

 政府は10月の緊急経済対策7,500億円に続き、11月に追加経済対策として予備費を使い8,800億円規模の最終案をまとめたが、24年度補正予算や25年度予算の編成作業など、その後の政治日程に見通しがつかないままである。特例公債法は、与野党の調整でようやく成立したが、今後の財政規律が緩まないよう監視を怠らないことが必要だ。新しい政権には、早く景気の下支えとなるような形をつくってほしいが、うっとおしい状況は年明け後も続くのではないか。

  10月の企業倒産件数は、1,072件(前年同月比6.3%増)、負債額は2,395億1,500万円(同53.5%増)である。このうち負債額「1千万円以上」は1,035件(同6.0%増)、負債額も2,393億5,400万円(同53.5%増)となった。件数が前年同月に比べ増加に転じたのは5か月ぶり、負債額の増加も3か月ぶりのことである。負債額の急増は、同「10億円以上」の大型倒産が48件と、今年の最多を記録したことが大きく響いている。