[00]最近の景気動向と企業倒産

2012/07/10 22:48 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2012/07/10 23:03 に更新しました ]

個人消費・設備投資・輸出の3本柱が緩やかに回復

 内閣府は、6月の月例経済報告で景気の基調判断を「緩やかに回復しつつある」との見方を据え置いた。世界経済については、「減速感が広がっている」として、9か月ぶりに下方修正した。債務問題を抱える欧州、米国の雇用面の弱さ、中国など新興国の内需伸び悩みなどが背景にある。

 日銀は、6月の「金融政策決定会合」で景気判断を「持ち直しに向かう動きが明確になりつつある」として前回に据え置き、国債など買入れ基金枠70兆円の金融緩和策も継続した。景気持ち直しは、復興需要に伴う設備投資や個人消費の改善、製造業中心の生産・輸出の回復などが寄与している。

 ともかく国内景気は、上場企業の12年度業績が総じて良好の見込みに加え、復興需要のプラス効果の顕在化やエコカー補助金などの政策効果も期待できる状況にある。財務省の法人企業景気予測調査は、7~9月期を「持ち直しの動きが続く」と見通している。

 しかし、外部に目を向けると、EU(欧州連合)混乱の波紋は、わが国に極端な円高・ユーロ安という形で押し寄せている。加えて、株価は海外要因に振り回され、低迷から一向に脱け出せないでいる。円高・株安は、消費マインドを殺ぐと同時に、輸出企業が巨額の為替差損を余儀なくされるなど、実体経済へのハネ返りが大きい。

 欧州財政危機の震源地・ギリシャでは、6月の議会選挙で財政緊縮派がわずかに議席の過半数を占めた。ギリシャ国民は、EUとの支援合意をもとに債務危機を乗り切る方途を選択、ひとまずユーロ離脱の危機は回避されたが、なお緊縮反対派の勢いが衰えず、今後の政局運営は難しい舵取りを強いられている。しかも、ギリシャが一応の結論を出したからといって、欧州の財政危機が収束する見通しは立っていない。

欧州諸国の債務処理・米国の景気減速・新興国の成長鈍化に懸念

 ユーロ圏では、巨額な政府債務を抱えるスペインがEUに支援を要請、イタリアの国債利回りは高止まりという状況にある。今後の対処いかんでは、さらに国債価格の低落・金利の上昇を招きかねない。その結果は、欧州経済はもちろん世界経済にも大きな影響をおよぼす。金融市場を維持するためには、ECB(欧州中央銀行)やEFSF(欧州金融安定基金)の信用保全体制に万全を期すと同時に、ユーロ体制維持のため圏内各国の議論進展に世界の期待がかかる。一方では、米国の雇用統計が調査機関の予想を下回り、中国など新興国では成長率鈍化が伝えられるなど、外部環境は総じて弱気である。

 国内景気は「持ち直し」観測が広がっているが、こうした外部の景気リスクに加え、円高基調、夏場の電力供給不安、すでに残額が少なくなったエコカー補助金終了後の反動など懸念材料を抱えるだけに、一概に楽観視できない。

 5月の倒産件数は1,190件(前年同月比8.3%増)、負債額は2,827億5,000万円(同11.8%増)である。このうち、負債額「1千万円以上」は1,148件(同7.2%増)で、前年同月を3か月ぶりに上回った。負債額は、2,825億5,800万円(同11.8%増)と増加したが、前年比では2か月連続で3,000億円を下回った。

 負債額「10億円以上」の大型倒産は34件(同10.5%減)で、このうち「100億円以上」は事業者向け金融の上場企業「NISグループ(株)」(負債額512億4,200万円)と、第三セクターの「神戸市住宅供給公社」(同503億500万円)の2件である。

 地域別の集計では、「東北」の件数が29件(同32.6%減)と前年比で1年7か月連続の減少。復興需要が支えている形である。「東北」を除く7地域の件数は、すべて前年比で増加した。  東京商工リサーチの発表によると、5月の震災関連倒産は46件と、いぜん40件台の高水準を継続している。