[00]最近の景気動向と企業倒産

2012/06/03 18:58 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2012/06/03 18:58 に更新しました ]

※本稿は今後の経済指標の発表などで内容を一部修正する場合があります。

欧州経済を揺るがすギリシャの混迷

 5月の月例経済報告は、国内景気の基調判断を「復興需要などを背景に緩やかに回復しつつある」として、9か月ぶりに上方修正した。同報告で「回復」の表現が使われたのは4年3か月ぶりである。個人消費は「緩やかに増加」、輸出は「持ち直しの動き」とそれぞれ、回復に向けて一歩踏み込んだ判断となった。

 1~3月期のGDP(国内総生産)は3四半期連続のプラス成長となった。主に個人消費と公共投資が支えになり、輸出もまずまずの持ち直しだったことが寄与した。個人消費は、エコカー補助金の政策効果と娯楽関連の消費が堅調に推移した。公共投資は、復興需要を中心にしたものだが、今後も約20兆円規模の予算執行が続く。輸出は、持ち直している。しかし、公共投資の支えは、いつまでも長続きするものでもない。

 一方で、夏場の電力供給の行方、ギリシャの混迷を震源とする欧州危機の再燃懸念と為替相場で円高へのぶり返しなど、景気のリスク要因は絶えない。

 とくに、ギリシャ債務危機の再燃やユーロ危機の深刻化は、日本経済の足を引っ張りかねない状況にある。ギリシャは、大統領による総選挙後の連立交渉が不調に終わり、6月再選挙に追い込まれた。このため約1か月の政治空白が続く。いまのところ再選挙では、財政緊縮派と反緊縮派の勢いは拮抗しており、世界市場はその成り行きを固唾をのんで見守っている。反緊縮派の主張は、EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)などが支援の見返りに求めている財政再建策の見直しを訴える一方でユーロ残留を望むなど、市場を相手にしたギリシャ国民の闘いはなお続く。その間、スペイン、イタリアなど債務不安国の国債利回りが上昇、欧州不安を増幅している。ついでにいえば、欧州の格付け会社フィッチ・レーティングスが日本の円建て国債の格付けを一段階引き下げた。ギリシャの国難を「対岸の火事視するな」の緩やかな警告とも受け取れる。

 この混乱状況を映して、日・米・欧の株式市場は軒並み下落、対ユーロ・ドルで円高が加速した。国内の景気指標は、好転・悪化それぞれに綱引き状態にあるが、どちらかといえば欧州情勢が微妙な影を落とし、景気天気図は曇りの色合いを強めている。ともかく、日本はGDPの3四半期連続プラスをテコに、現状の地固めをしながらの具体的な成長戦略の展開に期待したい。

倒産件数・負債額ともに前年比で減少

 4月期倒産の特色は、負債額「10億円以上」の大型倒産が前年比32.6%減、第三セクターの倒産が6か月連続で前年比増加、地域別では震災地「東北」の件数が引き続き減少、業種別では「製造業」が15か月連続で減少、などである。  4月期の倒産件数は1,040件(前年同月比7.6%減)、負債額2,291億5,600万円(同18.1%減)である。このうち負債額「1千万円以上」は、件数が1,004件(同6.7%減)と前年比で2か月連続の減少、負債額は2,289億5,900万円(同18.1%減)と5か月ぶりに前年比を下回った。これは、負債額「10億円以上」の大型倒産が31件(同32.6%減)に止まったことによる。