[00]最近の景気動向と企業倒産

2012/03/29 18:24 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2012/04/06 1:27 に更新しました ]

復興需要への期待と円高・欧州危機との綱引き

 彼岸は、暑さ寒さの峠である。もっとも、それは太平洋側中心の手前勝手な話だが、それら地域では彼岸前から一日ごとに日脚は伸び、枝先には春がほころびはじめた。変転きわまりない人間社会と違って、季節の巡りはまことに律儀である。

 1月の景気ウォッチャー調査(内閣府)では、足元の景気実感を示す現状判断指数が2か月ぶりに悪化した。しかし、落ち込みは一時的な要因が大きいとして、基調判断は「緩やかに持ち直し」で据え置いた。一方、2月の景気動向指数が前月比2.9ポイント上昇したことで、景気の基調判断を「上方への局面変化を示している」として、6か月ぶりに上方修正した。タイ洪水による部品不足が解消し、自動車などの生産回復に加え、厳冬で冬物衣料、暖房器具などの売れ行きの伸びも寄与した。

 日銀は、2月の金融政策決定会合で当面、物価安定の目途として1%上昇を目指すことと、金融緩和の基金を10兆円上積みすることを決めた。

 第4次補正予算が、2月議会で成立した。規模は2兆5,345億円で、中小企業の円高対策をはじめ、エコカー補助金の復活、被災事業者支援などに向けられる。今後の景気持ち直しのきっかけにしたいところである。

 夏場の電力事情が、供給と料金がらみで心配されている。とくに、原発の稼動停止に伴う電力供給に不安がつきまとう。電力の供給不足ということになれば、企業の生産活動が鈍る、海外移転がいっそう進む、輸送機関の運行に支障をきたす、あるいは街中に暗さが覆うなど、産業・社会に大きな影響を免れない。しかし、供給面の必要性を説くばかりでなく、消費の面からもどうあるべきかを考えたい。つまり、どうやって電力消費を抑えながら企業活動の効率を上げるか、生活する一人ひとりが主体的に消費電力をいかに抑えるかといった視点も大切にしたい。

 海外動向で気がかりなのは、米国経済とギリシャのデフォルト(債務不履行)回避の行方である。米国の1月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が市場予想を上回り、失業率は3年ぶりの低水準に改善された。住宅市場の底入れは、それほど遠くないとの観測も流れている。株式市場は、これら材料を素直に評価、一時3年9か月ぶりの新高値をつけた。しかし、それほど過熱感はなく、今後の緩やかな景気回復への期待が膨らんでいる。

 EU(欧州連合)17か国は2月の財務相会合で、ギリシャの第二次支援(約13兆円)実施で合意、ギリシャ議会も緊縮策を可決したことで、ひとまずギリシャがデフォルトに陥る事態が回避され、世界経済の混乱要因が拭われたとの安堵感が広がっている。これを映して、為替相場では歴史的な円高が徐々に修正されてきた。しかし、緊縮策にはギリシャ国民の反発が強いだけに、財政緊縮策や構造改革が計画通りに実施されるとの保証はなく、今後の展開は予断を許さない。この間、S&P(スタンダード&プアーズ)が、イタリア34金融機関の格付けを一斉に引き下げている。

 以上を総合して、国内景気は復興需要が実体経済に反映する時期に差しかかっていることもあり、海外動向を織り込みながら徐々に持ち直していくとみられる。

負債総額を膨らませた「太平洋クラブ」(ゴルフ場)の倒産

 1月期の倒産件数は1,015件(前年同月比7.3%減)、負債額は3,495億1,200万円(同47.7%増)である。このうち負債額「1千万円以上」は985件(同5.4%減)、負債額は3,493億5,500万円(同47.8%増)で、1月の発生件数としては1999年(976件)以来13年ぶりに1,000件の大台を下回る低水準だった。一方、負債額は、ゴルフ場「太平洋クラブほか6社」の民事再生手続開始(負債額1,536億8,400万円)で総額が大きく押し上げられた。

 負債額「100億円以上」の大型倒産は、「(株)太平洋クラブ」(同1,100億円)と関連企業の「(株)太平洋アリエス」(同287億7,100万円)、埼玉の移動電気通信業「ネクスネット(株)」(同124億円)の3件だが、この3件で月次負債総額の43.3%を占めた。

 東京商工リサーチの調べによると、上場企業の倒産は、昨年11月から4か月連続でゼロ、円高関連の倒産は4件、震災関連の倒産は40件で、昨年3月からの累計は590件に達した。なお、現時点で倒産にカウントされない事業停止など実質破たんのケースが多数に上っており、いぜん落ち着かない状況が続いている。 

 2月末、国内の半導体大手エルピーダメモリが破たんした。負債総額は、製造業では過去最大の約4,480億円に上る。半導体の市況悪化と円高の影響をもろに受け、この間、資本提携交渉もまとまらず、結局、会社更生法の申請に踏み切った。