[00]最近の景気動向と企業倒産

2011/10/31 21:52 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2011/11/01 2:33 に更新しました ]

世界経済は先行き不透明

 政府は10月の月例経済報告で、4月以来半年ぶりに景気の基調判断を引き下げた。景気持ち直しのテンポは緩やかに続いているものの、海外経済の減速で輸出・生産の伸びが鈍っているためである。背景には、欧州の債務危機に加え、米の景気減速、さらにこれまで世界経済を支えてきた新興国の減速感がある。中国の7~9月期GDP(実質成長率)は4半期連続のダウンで、成長に陰りがみられる。インフレを警戒した金融引き締めと、海外の債務危機が影響している。

 世界経済は、欧州が当面する財政・金融危機をどう乗り切るかのメドが立たないまま先行き不透明である。これに米国や中国をはじめとする新興国の景気減速感も加わり、世界的な株安の流れに歯止めがかからない。国内では、株安が実体経済に影響を及ぼしかねないとの懸念が広がっている。さらに歴史的な円高という固有の事情もあり、輸出産業を中心に各企業は厳しい受け止め方をしている。 

 とにかく日・米・欧の財政・金融状態は、深刻である。事実、米国は8月の上下両院で難航の末、債務上限額引上げ法案を辛うじて可決、EU(欧州連合)では、ギリシャの財政危機を巡って国際機関の融資やEFSF(欧州金融安定基金)の機能強化などをからめ、この事態をどう収束させるかに市場の目が注がれている。EUとIMFは、同国支援の条件として財政再建を求めているが、ギリシャ国内では公務員削減や増税に反発する労組のストが続発、混乱は収まりそうにない。ユーロでは、スロバキア議会がEFSF機能強化策について加盟国最後の賛成裁決をして、当面の混乱は収束されたが、それで欧州が財政・金融危機を脱したわけではない。日本は、復興財源を確保するために増税幅の圧縮を狙う税外収入に、どれだけ頼れるかに神経を費やしている。 

日・米・欧の財政再建が焦眉の急

 財政再建の道筋は、簡単にいえば歳出・歳入のバランスをとることにある。膨らみすぎた政府債務の負担を減らすには、古来からいわれている「入るを量りて出るを制す」という原理原則を取り戻すことだろう。といって、これだけ経済が成熟してくると、「入る」で成長を頼りにするのも容易でない。成長を名目に財政支出を増やせば、ますます財政再建から遠のく。歳出削減の徹底を前提に、ある程度の増税受け入れは止むを得ない。増税は、景気回復の後から論議すればいいとの主張もあるが、回復時期のとらえ方が難しい。それに、震災復興は現役世代で負担していくのが筋だろう。 

 国の予算構造は、いま約40兆円の収入で約100兆円の支出という形である。約60兆円の歳入不足は、もちろん国債などの借金で埋め合わせている。例えれば、年収400万円の家庭が、支出1000万円の暮らしを続けるために年600万円の借金を積み重ねていることになる。借金返済のメドが立たなければ、どんどん利息がかさむ。こんな生活が、どこまで続くだろう。手を拱いていれば、遠からずの破たんは目に見えている。 

 これが今の日本の国家財政である。国家だから、潰れることはないとのんびり構えていれば、ギリシャの二の舞に追い込まれる。財政規模が大きいだけに、最悪の事態に陥れば世界経済に与える影響は計り知れない。日本の財政再建は、欧・米と歩を一にする焦眉の急である。経済成長に欠かせない要件でもある。 

 9月期の倒産件数は1,030件(前年同月比10.1%減)と、9月としては2005年の987件以来6年ぶりの低水準、負債額は2,124億6,200万円(同85.0%減)の大幅減となった。このうち、負債額「1千万円以上」の件数は1,001件(同9.2%減)、負債額は2,123億1,200万円(同85.0%減)である。負債額の大幅減は、負債額「10億円以上」の大型倒産が38件(同34.5%減)となったことに加え、前年は日本振興銀行(負債額6,805億6,300万円)、武富士(同4,336億800万円)のほか、茨城県住宅供給公社(同523億3,600万円)、ARMOR HOLDINGS(同143億円)など大型倒産の多発で負債額が急増したことの反動である。

  東京商工リサーチの調査によると、東日本大震災の関連倒産は60件で、3月以降の累計は371件に達した。1995年の阪神淡路大震災の関連倒産が発生7か月で103件だったことに比べると、約3.7倍のペースで推移している。