[00]最近の景気動向と企業倒産

2011/10/05 2:14 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2011/10/05 2:14 に更新しました ]
注目される新内閣の成長戦略

 新内閣が発足した。引き続きの課題は、東日本大震災の被災者支援と震災地の復旧・復興、それに伴う財源の確保をはじめ、成長路線の方向づけ、財政再建、税と社会保障の一体化などにある。

 8月の景気動向指数(内閣府)と、4~6月期の経済情勢報告(財務省)は全国ベースで上方修正され、日銀も「金融経済月報」で景気判断を上方修正した。一方、4~6月期のGDP(国内総生産)は、3期連続のマイナス成長となった。内容的には、大震災の影響とデフレ圧力の強さをうかがわせる指標である。しかし政府は、景気は後退局面にないとの判断である。生産・輸出の持ち直しが鮮明なことに加え、これから第一次・二次補正予算の執行が進み、復興需要の景気押し上げ効果がはっきりしてくる。従って7~9月期のGDPが、プラス成長に転ずるのは確実とみている。

 もっとも、急ピッチで進む円高、電力供給の不安、欧米の債務不安、新興国のインフレ懸念など、内外ともにリスク要因を抱えているのも事実で、これが国内経済にどのように影響してくるかの見極めが必要な局面である。

欧米の財政・債務危機で揺れる世界市場

 8月は、世界の金融市場が大きく揺れ動いた。まず米国では、債務上限額引上げ法案の帰趨を巡る与野党の攻防がトリガーとなって、株式市場が暴落した。その後、米国債の格下げと景気減速、欧州でくすぶり続ける加盟国の財政・債務危機が追い討ちをかけ、日本では円高が震災後の立ち直りに大きく影響するなどが指摘され、世界的に株安の流れが加速、実体経済への波及が懸念された。その後も円高の流れはやまず、為替市場は安定を欠いている。

 とくに日本では、中小企業が震災による事業環境の悪化と急ピッチなドル安・円高に悩まされることになった。政府・日銀は8月初旬、円売りの為替介入に踏み切ったが、これも一時的な効果しかみられず、歴史的な円高水準が続いている。ドル安・円高は、国内事情ではなく主に外的要因によるものだが、輸出企業にとっては経営上の大きな負担となる。

 もう一つの問題は、電力の供給体制をどう整えるかである。この問題は、一面、産業構造の変革を迫っているともいえる。すでに、製造業を中とした企業の海外展開が大きな流れになろうとしている。この事態が進めば、当然、国内の雇用情勢、所得環境、消費行動にも影響してくる。このような事業環境の中で、各企業が成長を持続させるには、政策対応と同時に企業独自の経営努力がいっそう求められる。  7月期の倒産件数は、1,131件(前年同月比2.2%増)と3か月連続で前年同月を上回った。一方、負債額は2,212億100万円(同19.7%減)と大幅に減少した。このうち負債額「1千万円以上」の件数は1,081件(同1.4%増)、負債額は2,209億1,200万円(同19.8%減)である。負債額の大幅減少は、前年は43件に上った負債額「10億円以上」の大型倒産が、33件(同23.3%減)に止まったことによる。