[00]最近の景気動向と企業倒産

2011/06/05 17:45 に Matsumoto Norikazu が投稿   [ 2011/06/05 18:22 に更新しました ]
大震災の衝撃度を実感させた3~4月の景気指標
3~4月に出された、さまざまな経済指標は、改めて震災の衝撃度の大きさを実感させるものだった。3月の貿易黒字(財務省)、鉱工業生産指数(経産省)、4月の実質消費支出(総務省)など、いずれも大幅に落ち込んだ。4月の月例経済報告は、「景気は持ち直していたが、大震災の影響でこのところ弱い動き。また高水準の失業率など状況は厳しい」としている。日銀も4月の金融政策決定会合で、23年度の経済成長率を大幅に引き下げた。民間の調査機関も、3月の中小企業景況調査では軒並みマイナス幅の拡大を伝えている。これらもろもろの指標や金融政策当局の判断は、震災が生産活動に与えた打撃の大きさ、これに伴う輸出低迷を強く印象づけた。

しかし、震災後3か月近くが経って、地域に復興への明るい兆しもうかがえるようになった。経産省が4月にまとめた産業実態緊急調査によれば、震災で寸断されたサプライチェーン(供給システム)の復旧が軌道に乗り始めた。震災した大手製造業の生産拠点のうち、約6割が復旧、3割が夏までに生産再開の見通し。しかし、十分な供給網の復活は、秋ごろにずれ込むと見ている。見通しを確かなものとするには、ともかく物流拠点を早めに整備し、電力供給に安心感を持たせることが前提となる。
政策効果・復興需要や海外経済の改善で年度後半の回復に期待いずれにしても、4~6月期はマイナス成長を余儀なくされ、回復への期待は年度後半に持ち越されるだろう。当面の急激な落ち込みを戻すには、政策面で復旧・復興計画を軸にした日本全体の成長に対するはっきりした道筋をつける必要がある。復旧・復興には、国内経済の成長という後ろ盾が欠かせないからである。経済成長を軌道に乗せられれば、雇用、所得環境の好転、税収源の確保などに希望が出てくる。

しかし、電力供給の制約やサプライチェーン立て直しの遅れ、消費者心理の冷え込み、原発事故の収束ずれ込みと風評被害、被災地の失業増、食料・原油など国際商品の価格高騰など下ぶれリスクが、いぜん残っていることにも目配りが欠かせない。

23年度の成長率(GDP)は、個人消費や輸出が多少落ち込んでも、復興需要が本格化すれば、ある程度はカバーできるだろう。当面の景気動向は、東日本大震災の影響から弱い動きが続くだろうが、その後は、海外経済の改善や政策効果などを背景に、生産活動の回復に伴う持ち直しが期待される。

それにしても、復興資金の原資をどのように確保するかは、最大のテーマである。復興計画そのものは、あくまで「あるべき論」で、青写真の「実現を裏づける」のは資金である。どんなに理想を盛り込んだ計画も、カネがなければ絵に描いた餅に過ぎない。その資金を増税に頼るか、公債発行でまかなうのかの難問をクリアしなければならない。

海外動向では、4月に入ってから米国の株式市場が高値を更新し続けていた。景気回復の足取りがそれほど強いわけではないが、1~3月期の企業業績が良好だったことを好感したものだ。しかし5月中旬以降は、ひところの景気回復への期待がしぼみ、株価も失速気味である。欧州の信用不安は、なかなか解消しそうにない。  4月の倒産件数は1,125件(前年同月比5.5%減)、負債額は2,798億7,900万円(同3.6%増)となった。このうち負債額「1千万円以上」の倒産は1,076件(同6.8%減)と21か月連続で減少したが、一方、負債総額は2,795億6,700万円(同3.5%増)と6か月ぶりに前年同月を上回った。負債額「100億円以上」の倒産は3件、震災関連の倒産は25件が発生、上場企業の倒産は2月以来発生していない。※5月の震災関連倒産は58件発生し、3月11日以来の累計は137件となった(東京商工リサーチ調べ)